2010年3月 2日

コラム「オープンガバメントで改めて問われる三つの課題」を執筆、掲載した

勤め先(大和総研)のWebサイトに、「オープンガバメントで改めて問われる三つの課題」というコラムを執筆し、先週掲載した。興味のある方はどうぞ。

経済産業省アイディアボックス」には登録しているものの、まだ様子見の状態である。いま改めて閲覧してみると、かなりの数のアイディア投稿がなされている。とはいえ、現在の登録ユーザ数は3183人、おそらく感度の高いネットユーザ、IT業界人しか参加していないと思われ、まだまだこれからというところか。一通りアイディアを読んだ上で、賛否投票くらいは期間中に参加してみようと思う。

2009年5月10日

横浜・開国博Y150「入場者数」のハッタリぶり

ゴールデンウィーク(4月28日~5月6日)期間中の入場見込みを約40万人と発表していた横浜・開国博Y150。しかし5月7日の記者会見で、その数字は無料会場の入場者も含めたものだと翻し、関係者は謝罪したらしい。

 ◇40万人見込み“訂正” 協会「無料を含む数だった」

 横浜開港150周年イベント「開国博Y150」を主催する横浜開港150周年協会は7日、大型連休中(4月28日~5月6日)の有料入場者数を約 11万人と発表した。開幕前は4倍近い「約40万人」を見込み数として公表していたが、協会は発表後に「約40万人は無料会場も合わせた『全体』の見込み 数の誤りだった」と訂正した。

 協会は、会期中の有料入場者数を約500万人と掲げている。会期当初で目標を事実上下方修正したとも受け取れる「訂正」について、協会は「このタイミングでは勘ぐられても仕方ない。大変申し訳ない」と謝罪した。

 発表では、大型連休中の入場者数は「全体」で約49万人で、このうち「有料」は約11万人だった。協会の阿部龍浩広報・宣伝部統括部長によると、 これらの人数は協会運営本部が算出する。「約40万人」について運営本部から詳しい説明がなく、広報・宣伝部は有料入場者見込みと思い込み公表したとい う。

 阿部部長は「協会内部の情報の伝達ミスが原因。7日になって初めて誤りに気付いた」と弁明。「約40万人」の見込み数は複数のメディアが報道したが、運営本部から誤りの指摘はなかったという。

「横浜開港150周年:開国博、GWの有料入場者11万人 /神奈川」(毎日新聞, 5月8日) より引用)

内輪で責任のなすりあいをしている様子が目に浮かぶ。

横浜開港150周年協会の公式サイトには、5月7日の記者発表資料「横浜開港150周年記念テーマイベント「開国博Y150」開幕〜ゴールデンウィーク(4/28〜5/6)入場者 約49万人」が一見高らかに掲載されているが、PDF資料の右下に「【有料会場入場者数】 累計 109,023人」と、目立たないように記されている。文書作成担当者の心情を鑑みると、むしろ気の毒に思えてくる。

入場者数に関する各報道と、GW後に主催者が発表した(無料を含む)入場者数を、時系列にまとめてみた。(下線強調は筆者による)

月日・時期 報道の内容 入場者数
(GW後に主催者発表)
開会前の見込み 「会期153日中に見込んでいる観客動員数は、ベイサイドエリア450万人、ヒルサイドエリア50万人で、合計500万人。ゴールデンウイーク期間中のベイサイドエリアの想定入場者数は約40万人。」(ヨコハマ経済新聞ほか) -
開会初日
4月28日(火)
「同日夕までに6000人以上が来場」(毎日新聞
午後四時時点の入場者数から、一日全体の数を予想する推計値で、横浜開港150周年協会は「一万人超」と発表した。協会の広報担当者は「ほぼ予想通り」とほっとした様子。」(東京新聞
「19,000人もの有料入場者数を記録」(横浜ウォーカー
(無料も合わせた全体)
19,000人
5月1日(金) 「1万6000人以上」(毎日新聞) ※4月28日と同様、夕方までの数字か (無料も合わせた全体)
23,000人
最多入場者数
5月3日(日祝)
(調べた範囲では該当記事なし) (無料も合わせた全体)
144,000人
GW期間
5月6日まで
「発表では、大型連休中の入場者数は「全体」で約49万人で、このうち「有料」は約11万人だった。」
「開幕前は4倍近い「約40万人」を見込み数として公表していたが、協会は発表後に「約40万人は無料会場も合わせた『全体』の見込み数の誤りだった」と訂正した。」(毎日新聞, 5月8日
(無料も合わせた全体)
491,000人
(有料入場者数)
109,023人

開国博Y150の無料会場には、赤レンガ倉庫や山下公園など、普段から多くの人でにぎわう場所が組み込まれている(公式サイトの案内図参照)。もちろんそれには、地域全体で開国150周年のイベントを盛り上げようという趣旨があるのだろう。

しかし、すでに開会初日の段階で、入場者数発表の整合性は怪しくなっていることが分かる。夕方の段階の「一万人超」という推計値を「ほぼ予想通り」という広報担当者は一体どんな予想をしていたのか、ということになる。「午後四時時点」というようにリアルタイムで計測しているのは、さすがに有料会場限定だろう。さらに横浜ウォーカーは、19,000人という数字を「有料入場者数」とはっきり言ってしまっている。しかしその数字は、実は無料入場も合わせた数字だった。

そして、GW後の記者発表資料には、無料も合わせた「全体」の概数は日毎に記載する一方で、正確に数えられるはずの有料入場者数については累計しか発表していない。普通は逆ではないか?

このGW期間中、私も一観光客として、その「無料会場」なる赤レンガ倉庫と山下公園に出向いていた。有料会場(大人2,400円)は高すぎると思ったので入場しなかった。赤レンガ倉庫内のショップを見て回り、山下公園まで歩いて一服し、中華街で食事した後でまた赤レンガ倉庫の近くに戻って遊覧船に乗ったのだが(つまり普通の横浜観光)、そんな私をどうやって主催者は数えたのだろうか。かりに何らかの方法でちゃんと数えていたとしても、私は開国博に「入場」したという認識をまるで持っていないのだが。

こんなのはデタラメか、好意的に解釈しても、相当にいい加減な発表、広報である。

こうしたいい加減さが、行楽地の警備体制に影響を与えた可能性もある。毎年GW前に、主催者からの情報をもとに警察が人出の予想を発表している。各報道によると今年は以下のような感じだった。

みなとみらい地区(横浜市西区) 122万人
横浜八景島シーパラダイス(横浜市金沢区) 52万人
野毛大道芸(横浜市中区) 50万人
泳げ鯉のぼり相模川(相模原市) 47万人
開国博Y150(横浜市中区) 40万人
ザよこはまパレード(横浜市中区) 30万人

(神奈川県警が4月22日に発表した県内の人出予想(4月25日~5月6日)より上位6か所を引用)

冒頭の引用記事では、この40万人という数字を「広報・宣伝部は有料入場者見込みと思い込み公表した」とのことだから、神奈川県警にも誤った情報を提供したということになる。訂正について謝罪するなら、警察にも一言あるべきだろう。

ただし、開国博Y150側の40万人を、無料会場を含む数字だと訂正したら、みなとみらい地区と重複して人出を計上していることになる。赤レンガ倉庫は「一般社団法人横浜みなとみらい21」のサイトにも当然のように掲載されている(山下公園はみなとみらい地区に含めないそうだ)。どちらにせよ、主催者は過剰な人出予想を警察へ提供したことになる。

赤レンガ倉庫はもともと人気の高い観光スポットで、年間約500万人が訪れるそうだ(一般社団法人横浜みなとみらい21のサイトより)。単純に日数で割り算しても、9日間では12~13万人の人出となる。まして4月28日~5月6日の9日間では、開国博を開催せずとも人出は急増するだろう。山下公園もやはりお馴染みの観光&デートスポットで、こちらは年間約200万人が訪れるそうだ(横浜山下公園通り会のサイトより)

赤レンガ倉庫と山下公園だけで、GW期間中に40万人という目標におよそ手が届いてしまうのではないか。もしも無料会場を含む数字だったのだとしたら、見込み(目標)設定が低すぎるのでは?

というか、「約40万人は無料会場も合わせた『全体』の見込み数の誤りだった」だなんて、その場を取り繕うための嘘でしょう?

主催者の訂正後も、9月までの会期153日間の有料入場者数(ベイサイドエリアのみ)450万人という見込みは変更ないらしい。1日平均で約3万人ということだから、9日間では単純計算で約27万人。この手の期間限定ベントは夏休みから閉会間際(8~9月)に入場者数が急増するのが通例とはいえ、有料入場者数の見込みとしてならば、GW期間中に40万人という数字はすんなり合点がいく。

姑息な訂正で「約49万人」「首都圏随一の盛大なイベントとして順調な滑り出し」などとハッタリをかまし、記者会見で突っ込まれて「このタイミングでは(目標の下方修正と)勘ぐられても仕方ない」などと情けない謝罪をするよりも、なぜ観光客にそっぽを向かれているのか、今からでも率直に認識して対策してもらいたい。図らずも「入場者数」にカウントされてしまった一観光客からの願いである。

2008年10月30日

コラム『「婚姻届がオンライン戸籍手続で可能に!」のその後』を執筆、掲載した

勤め先(大和総研)のWebサイトに、『「婚姻届がオンライン戸籍手続で可能に!」のその後』というコラムを執筆し、先週掲載した。興味のある方はどうぞ。

婚姻の届け出方法を私的に調べているうちに、「そういえばあの話はどうなったんだろう?」と思い出したのがきっかけ。まあ、予想通りであった。

調べ物の副産物も結構あった。過去の法務省の資料を当たってみると、やはりここでも文字コードの問題が強く認識されていることが分かる。「戸籍統一文字」という、あまり関わりたくない(苦笑)文字コードがそこには存在している。また、先月発表された「オンライン利用拡大行動計画」では、公的個人認証サービスのクライアントソフトおいて Java (JRE) を不要とする方針であることも知った。やはり、一般の国民に提供するソフトウェアとしては、マイクロソフトの諸製品と比べても Java は未熟すぎた。

いろいろ書きたいことはあるのだが、(例によって?)それらはまたの機会ということで。

2008年2月15日

JAROに問い合わせてみて分かったこと

JARO(社団法人日本広告審査機構)と聞いて思い浮かべるのは、やはり、厳格なイメージであろう。どこかで広告を監視し、不適切な広告を見つけたら警告し、場合によっては当局に通報する、そんなパブリックイメージがあると思う。

しかし、JAROのWebページをよく読んでみると、そのイメージとはいささか異なることに気づく。「JAROとは」には、「消費者からの苦情や問い合わせをもとに、JAROは公平なスタンスで広告を審査し、問題のある場合は広告主へ広告の改善を促しています。」と書かれている。苦情や問い合わせがないと動かないの?広告主へ広告の改善を促すだけで終わりなの?

以前から気になっていた広告について、昨年(2007年)7月、試しに電話で問い合わせてみた。いつかブログに書こうと思いつつ放置していた会話記録のメモを、以下記す。(電話終了後にメモしたため、実際の会話とは若干表現が異なっている。)

JARO「はい、ジャロです。(ゆっくりした口調の低い声。40~50歳代の男性か。「ジャロ」というより「ジヤロ」という感じの発音。その声でその発音は少々ビビったが、もちろんご本人には何も非はない。)」

私「インターネット上の記事広告について問い合わせたくてお電話したのですが」

JARO「はい、どのような商品の広告ですか?」

私「健康食品の広告です。」

JARO「どちらのページですか?」

私「日経BPの『闘う男の健康食品講座』というページです。」

JARO「URL をおっしゃっていただきますか?」

私「エイチティティピーコロンスラッシュスラッシュ、(中略)、さぷる、エスユーピーピーエルイー・・・あ、サンプルではなく、さぷるです、エスユーピーピーエルイー。最後にスラッシュ、です。」

JARO「はい。・・・あ、出ましたね・・・。(独り言っぽく)これは記事広告なのかな?・・・」

私「連載記事になってますけど、その一つ一つが、健康食品の効果・効能をあれこれ書いてまして、3、4ページあって、その最後にサントリーの販売サイトへのリンクを張っている、そういう形態になってます。」

JARO「たとえば第23回『脳のアンチエイジング成分を求めて・・・』を見てみましょうか・・・」

私「はい」

JARO「・・・ああ、この、セサミンとか・・・ゴマペプ茶とかのリンクですね。」

私「はい、そうですそうです」

JARO「これは確かに・・・この場合ですと、健康増進法という法律がありまして、記事から販売ページへのリンクがあると、広告と見なされることになります。ですので、リンクを削除するといった対応が必要となります。」

私「なるほど、はい。(健康増進法よりも薬事法のほうが優先度が高いのでは?とは思いつつ、広告リンクについての注意点はご存じだったようで一応安堵)」

JARO「JAROから先方に、そのような問題があるということはお伝えします。そうした問題があるということを知らずにやっている場合も考えられますし、そうした場合には対応してくれると思います。」

私「ぜひお願いします。」

JARO「ただ、23回も連載していますし、(法的な問題があることを) 知っていて (意図的に) やっているということも考えられますので・・・。」

私「はい・・・ (まあ、実際そうなんだけど。これについては後述)」

JARO「そうなると、保健所にお問い合わせいただいた方が確実かもしれませんねえ。」

私「保健所、ですか?」

JARO「はい、健康増進法については、保健所が管轄しているんですよ。」

私「(東京都の関係当局のほうが話が早いのでは?と、この時点では思っていた。後で知ったのだが、保健所も都道府県や政令指定都市の所轄である。) ああ、そうなんですか、なるほど。」

JARO「それから、JAROはあくまで自主的に広告業界が襟を正す組織ですので、問題を先方に伝えるということはしますが、それ以上のことはいたしかねるということはご理解いただきたいのですが。

私「なるほど、それは理解しています (もとよりそれは理解していた)。・・・ただ、たしか日経BPってJAROの会員企業ですよね?」

JARO「ええ、たしかそのはずですし、こちらからの連絡を受け付ける窓口はあるはずですが、それ以上のことは、ということで・・・」

私「なるほど。」

JARO「もう金曜の午後ですので、来週の早々にでも先方に連絡します。その上で、ホームページの更新の手間もあるでしょうから、2週間ほど経ってから確認してみて、それでも修正されないようなら、保健所のほうに連絡していただけませんでしょうか?」

私「そちら (JARO) のほうから保健所には連絡していただけないのでしょうか?」

JARO「ええ、私ども (JARO) からは、行政当局などに連絡するというようなことは基本的に行っておりません。先ほど申しましたように、自主的に改善していくという趣旨の組織ですので・・・」

私「なるほど、そうしますと、私としては、先ほどおっしゃったように、2週間ほど様子を見て、修正されていないようなら、保健所のような関係当局に連絡すると良いということですね?」

JARO「はい、そのようにお願いします。(締めくくりとして、しっかりした口調で) 情報の提供、ありがとうございました。」

私「いえいえ。ではよろしくお願いします。」

この件については、すでに昨年の2月に、まず日経BP自身、次に東京都福祉保健局健康安全室へ、実名のメールで伝えていた。日経BPからは無反応であった。メールの直後に私のサイトへ日経BPとサントリーからアクセスしてきた記録はあるので、読んだ上で無視したことが伺える。やはり一個人ではなかなか相手にされない。東京都福祉保健局健康安全室からは、薬事監視課に情報提供を行ったとの返事を頂いたが、その後当該サイトに変化はなかった。東京都の当局や保健所もいろいろ忙しい(たとえば昨今の中国製ギョーザ問題とか)だろうし、他の違法なあれやこれやに比べれば当該広告の違法性は軽微なほうだろうから、そこまで手が回らないだろうことは想像がつく。なので、東京都の当局について悪くは思っていない。

なお、JAROへの電話連絡の直後、当該の連載サイトは最終回を迎えていた。しかし、過去の記事が修正されているわけではないし、最終回の記事の最後には相変わらずサントリーの広告リンクを掲載している。JAROへの電話問い合わせはブログのネタにしかならず、無駄だったようだ。

JAROの趣旨と、世間一般のイメージとの乖離(かいり)は、もっと認識されるべきだろう。残念ながら、JAROの会員企業にさえさしたる指導力を発揮できない、そういう民間の広告自主規制機関である。広告の苦情や問い合わせの窓口として、JAROはあまり適切な選択肢ではないだろう。エキサイトニュースのJARO紹介記事では、「活動内容は、その社名の通り、様々な広告を審査し「嘘・大げさ・まぎらわしい」広告に対して指導を行うことだそうです。あくまで行政機関ではないので強制は出来ないそうですが、このような活動のおかげで宣伝・広告の不正が防がれているのです。」としているが、これは過大評価である。

一方、行政当局に連絡するにしても、どこに連絡すればいいのか、何とも分かりづらい状況である。最近になって、消費者行政を一元化する「消費者庁」構想が唱えられている。広告の不正を防ぐ観点からも、ぜひ実現して欲しいと願う。

2008年1月 3日

Intelの「グリーンIT」バナー広告が電力を無駄遣い

最近、グリーンITという言葉がIT業界で注目され始めている。コンピュータシステムにおける電力消費が地球温暖化防止の観点から無視できないほど増加しているとされており、それを削減する努力が求められようとしている。ただし今のところは、商売上の明確なメリットがありそうなところはともかく、そうでないところはコストの問題もあって簡単には対応できないだろう。どのような対策がどの程度必要なのか、効果はあるのかといった検討や議論も含めて、とにかく啓蒙が始まったというところである。

詳しく知りたい人は、Googleで「グリーンIT」を検索してもトップに表示される日経ITProの「グリーンIT」をおすすめ・・・と言いたいところだが、そのトップページ上部に、なんとも悩ましいIntel(インテル)のバナー広告が表示される場合がある。(もしも表示されなければ何回かリロードするとそのうち現れる)

日経ITPro「グリーンIT」画像
日経ITPro「グリーンIT」を2008年1月2日閲覧、縮小して抜粋)

この広告はFlashのアニメーションである。3年ほど前に購入したノートPCのスペック(Windows XP SP2、Intel Celeron 2.7GHz、メモリ768MBへ増設)では不足しているのだろうか、アニメーションの一部(ジグソーパズルみたいな図形が高速で動く場面)がコマ送り状態となる。ページを表示したままにしていると、同じアニメーションがずっと繰り返される。そして、ただ表示しているだけで、冷却ファンの音が表示前よりもにぎやかになる。

WindowsのタスクマネージャでCPU使用率を確認してみた。バナー広告のアニメーションの繰り返しを、バナーを全部表示した状態で3周、次に、上半分をページ外にスクロールして下半分だけ表示した状態で2周させ、その後、バナー全部を非表示状態にした。(ページスクロールや他アプリケーションなどのCPU使用率への影響も多少ある。)普段使っているFirefoxだけでなく、Internet Explorer 6でも同様にテストしてみた。

Firefox CPU使用率グラフ
(Firefox 2 で当該バナー広告を表示した際のCPU使用率(全部表示3周、下半分表示2周))

IE 6 CPU使用率グラフ
(Internet Explorer 6 で当該バナー広告を表示した際のCPU使用率(全部表示3周、下半分表示2周))

どちらのブラウザにおいても、ピーク時のCPU使用率は85%以上が表示された。おそらく瞬間的には100%に振り切れているではないかと思う。ほんの3年前のIntel Celeron搭載ノートPCを捨てて最新のIntel Core 2搭載PCを買えという、Intelからのメッセージなのかもしれない。なかなかよくできた広告だ(苦笑)。

ブラウザの比較でいうと、IEよりもFirefoxのほうがCPU使用率が高くなっている。実際、ピーク時のアニメーションのコマ送り状態もFirefoxのほうが顕著で、グラフを横軸方向に比較すると、Firefoxのほうが波形の周期が長くなっている。また、最大のピーク時以外にも、Firefoxでは、CPU使用率30%程度の2番目のピークが有意に存在する。

Firefoxについては、CPUやメモリなどの資源を(IEよりも)多く使用しているという報告が様々なサイトでなされている。Firefox側もその点は認識しているようで、たとえばFirefoxサポートページの「CPU usage」(英語)に対策方法が述べられている。同様の内容を日本語でまとめたブログ記事「Amigomr の徒然日記 : Firefox の高 CPU 使用を防ぐ方法」もある(このAmigomrさんという方はMozilla Japanで翻訳を担当なさっているらしい)。

なお、どちらのブラウザも、半分表示の状態ではCPU使用率が有意に低下し、非表示状態ではほとんど0%となった。この点について、産業技術総合研究所の高木浩光さんのブログ記事「高木浩光@自宅の日記 - 環境負荷の高いIBM広告」を見つけた。(2005年の時点ですでに当該の問題に気づいてブログ記事にしておられる。さすがだ。)この記事の事例では非表示状態でもFlashバナー広告がCPUを使用し続けているとしているが、今回の私のテスト結果は異なっていた。その記事にトラックバックしているブログ記事「こがねむしblog - 環境負荷の高いIBM広告」でも異なる結果(私と同じ結果)だったようだ。(PC環境やFlashアニメーションなどの条件によって、そのあたりの挙動は違ってくるのかもしれない。)

ということで、閲覧しないWebページは放置せずに閉じるか、ページスクロールしたり他のウィンドウやタブを前面に表示したりしてFlashアニメーション広告を隠すといったグリーンIT対策が今後ユーザに求められるかもしれない・・・って違うだろ(笑)。

そもそも、「インテルの世界最高水準の電力消費低減テクノロジー」「インテルはグリーンITをこれからも牽引します」といった調子でグリーンITを啓蒙する広告が、そんな電力浪費Flashアニメーションをむやみに使用してしまっては言行不一致である。日経BP「グリーンIT」のサイト管理者にそうした意識があれば素晴らしいが、広告収入を得る立場ではまあ無理だろう。広告主のインテルにこそ、もっと高い意識を持って欲しいところだ。Intel Core 2の性能が適切に活かされる出番は他にいくらでもあるだろう。

2007年2月25日

複利計算の近似値暗算手法「72の法則」にみる検算と数学の大切さ

いま、日本でおそらくもっとも人気の高いソーシャルブックマークのはてなブックマークでは、「ITmedia Biz.ID:複利計算を“暗算”で行う」という記事が300近いブックマークを集めている

その記事の内容は、複利計算における、「72の法則」と呼ばれる暗算可能な近似計算手法の紹介である。たとえば金利4%だとして、元金が2倍となるのは何年後か知りたいとする (税金は考慮しない)。単利なら25年後 (100 ÷ 4) とすぐに暗算できるが、複利では簡単に暗算できないように思える。ところが、72を金利 (%) で割って、72 ÷ 4 = 18年、というように近似計算できるというのが、「72の法則」である。 試しに表計算ソフトの Excel を使って正確な期間を検算すると約17年8か月後 (年単位の複利とし、月単位は12分の1の単利で計算) となった。確かに近似計算できている。

正直言って私は「72の法則」を知らなかったが、投資や金融に明るい人の間では広く知られている暗算手法らしい。はてなや ITmedia にアクセスする人というのは、どちらかというと、ネット関連の先進的な事柄には詳しくても、お金の話には疎いのかもしれない (苦笑)。知っている人は知っているという話であるならば、はてなブックマークにおける注目の集まり度合いは、いささか過熱気味だということになる。

この「72の法則」の数学的根拠は、二項定理のテイラー展開であり、大学教養課程 (もしくは高校数学の応用) のレベルである。元の記事においては、「テイラー展開」という言葉は使用せずに要点を簡単に解説している。たぶん、どこかの投資指南書に載っている話の引用であろうし、言われてみれば確かにそうだね、というレベルの話ではある。しかし、こうした実社会で使える数学の事例というのは、無責任な「数学なんか役に立たない」論への反論材料としても貴重だろう。勉強させてもらったと率直に思う。

しかし、この元の記事には、「それは違うだろ」という誤用も見られる。

3000万円の家を2%ローンで買った──。この場合の合計支払額をざっくり暗算するなら、72÷2=36。つまり36年で額はだいたい2倍となる。ロー ンの場合、徐々に元本も減っていくので細かな数字は変わるが、いわゆる35年ローンならば6000万円程度を合計で支払うことがすぐに分かる。

(ITmedia Biz.ID:複利計算を“暗算”で行う より引用)

「徐々に元本も減っていく」ことに気づいていながら、なぜそんな計算になってしまうのか?これについても検算してみたら、支払総額は4173万9109円となった (元利均等、月単位の複利、毎月定額支払で計算し、計算途中での四捨五入は無し)。6000万円も払う必要はない (笑)。こうしたローンの支払いについては、よく知られた (暗算は無理だが) 便利な計算式がある (Googleで検索してもすぐに見つかる) ので、すぐに検算できる。もっとも、検算するまでもなく間違いであることに気づくべき、明らかな誤用でもある。

しかし今のところ、はてなブックマークのコメントには、間違いを指摘するものは一つもない。スルーしているのか?それとも鵜呑みにしてしまっているのか?

さて、Google で「72の法則」を検索してみると、All About の記事が検索結果のトップとなる。面白いことに、貯金を2倍に増やしたい人向けと、借金が2倍になるのが困る人向けと、両サイドの記事がトップに表示されている。

そのうち、借金サイドの「借金はいつ2倍になる? 変則「72の法則」 - [お金を借りる・返す]All About」において、不適切な「72の法則」の適用例が示されていた。

上限金利29.2%だと… 2年半で到達!

グレーゾーン金利で話題になっていますが、出資法の上限、29.2%だと一体どんなスピードで倍に達するのでしょうか?

(72÷29.2%=2.465) 2年半ほどで、倍になるのです。

(「借金はいつ2倍になる? 変則「72の法則」 - [お金を借りる・返す]All About」2ページ目 より引用)

29.2%ほどの高金利でこのような近似計算は不適切だということの理解が、この記事の執筆者 (ガイドの横山光昭さん) には欠けていると言わざるを得ない。テイラー展開を知っている人なら、この「72の法則」という近似計算は、0の近傍 (つまり低金利) においてのみ適用可能だということに気づくだろう。なお、ITmedia の記事では「0~15%程度の場合」としており、この点について適切に説明している。

これについても検算してみたら、2年8か月を数日過ぎた時に、借金が2倍となる (年単位の複利とし、月単位は12分の1の単利で計算)。たいした誤差ではないと思う人もいるかもしれないが、1割も誤差が生じてしまうようでは、お金に関する大事な話であれば、別途検算が必要である。

それに、これはあくまで近似解を求める暗算手法の紹介である。記事のような文書に記す (検算できる状況にある) 際に、正確な期間を計算して誤差を示すことなく「2年半で到達!」という見出しを打つのは、やはり、不適切な誇張である。

だいたい、単利とみなして暗算 (100 ÷ 29.2) したって3年あまり (約3.4年) となるのだから、複利ならだいたい3年かそれより少々短いという程度までは見当がつく。また、電卓があれば、1×1.292とした後に「=」を3回連打すれば、3年未満で2倍になることはすぐに分かる。それに、72 ÷ 29.2 って、誰にとっても簡単な暗算だろうか?さして正確でもない近似計算の暗算を無理にやるよりは、コンピュータを使って正確に計算したほうがよい。29.2%という金利において、「72の法則」を持ち出す意義はない。

「72の法則」の有用性を理解し、同時にその限界を把握するためには、自分で検算して確認してみること、そして、数学についての理解が必要である。あるいは、数学に強くなくても、せめて検算してみることである。それは「72の法則」に限ったことではなく、数学的に見える事柄すべてに当てはまることだろう。

2006年12月31日

JAL株主優待券で私は得をしたのか?

この正月は二日ほどだけ、主に中学の同窓会に出席する目的で東京から徳島に帰省する。今回は片道だけ飛行機の予約を取った。その際に、JAL (日本航空) の株主優待券なるものを初めて金券ショップで1枚購入した。

なぜ今回が初めてかというと、最近の航空運賃の上昇に加えて、以下の報道を目にしたからだった。

 東京、大阪の金券ショップで大手航空会社の株主優待券が暴落している。大阪では、1年前に9000~1万2000円だった日本航空の優待券が3000円台に急落。東京都内でも5000~6000円の安値だ。年末年始の最需要期の値崩れは異例。背景には、日航が7月に実施した大型増資があるようだ。

 優待券は1枚で、国内の片道航空券を普通運賃の半額で購入できる。金券ショップで日航の優待券を3300円で買えば、東京―大阪便は通常料金2万2100円のところ、片道1万4550円(1月8日までの繁忙期料金)で乗れる。7550円得する計算だ。

 日航の優待券が値崩れを始めたのは12月に入ってから。日航が約1470億円の大型増資を実施したため、大量の優待券が11月下旬から新たな株主に配布され、需給バランスが崩れた。グループ事業会社統合の記念優待券も同時に発行され「発行枚数は前年同期の約1.4倍に増えた」(日航)という。

朝日新聞(asahi.com), 「航空優待券暴落、金券ショップで半額に 日航増資影響か」, 2006年12月28日 より引用

東京-徳島便 (この区間は現在JALのみの運行で、スカイマークは今年4月に撤退してしまった) で計算してみる。片道の普通運賃は28600円 (1月8日までの繁忙期料金、羽田空港の旅客施設使用料100円を含む) で、半額なら14350円となる。今回は利用予定が間際だったので、近くにある少々割高な大手チェーン店 (大黒屋の池袋店) にて株主優待券を6000円で購入したものの、それでも総計20350円となり、8250円も得する計算となる。さらに、Yahoo!オークションで「JAL 株主優待」をキーワードにして検索してみると、だいたい大阪と同じ3000円台が相場であることが分かる。東京に在住していても、東京-徳島の片道費用を10000円以上節約できそうである。(この段落2007年1月3日修正: 羽田空港の旅客施設使用料は割引の対象外でした)

私が大学に入学し上京した頃は、この区間の普通運賃は21000円程度だった (当時は日本エアシステム (JAS))。その後、全日空 (ANA) の参入・撤退、スカイマークの参入・撤退などがあったなか、普通運賃はじりじりと値上がりした。早割や特定便割引などを航空会社はアピールしているが、予約の時期や販売座席数には限りがある (たしか以前に公正取引委員会から注意されたこともあるはず)。なにより正月などの繁忙期にはそんな割引は存在せず、むしろ「ピーク期」として割増となる。さらに、2007年4月から、また値上げするとのことである。東京-徳島便は600円値上がりし、繁忙期は 29200円 (羽田空港の旅客施設使用料100円を含む) となるそうだ。

そこへきて、今回のJAL株主優待券の価格急落である。以前は東京-徳島便で株主優待券を買ってもさほどのうまみはなかったが、今は違う。しかも、株主優待券による航空券の購入は、前払いではなく、搭乗時に空港で行える。むしろ空港で支払うのが一般的なはずで、2005年7月から自動チェックイン・発券機で株主優待券が利用可能になったことを、「お客さまの声を形にしました」としてJALはアピールしている。予約を変更する自由まで考慮すれば、これはもう、繁忙期以外でも迷わず金券ショップで株主優待券を買い求めたほうが良さそうな情勢である。

なお、株主優待券の販売価格だけでなく、買取価格も当然急落しているようだ。金券ショップの買取価格表やブログ記事によると、以前は4000~5000円程度だった買取価格が、今では2000円前後になっているようである (こうした状況は ANA でも同様らしく、販売価格、買取価格とも JAL につられて「連れ安」状態なのだそうだ)。Tom さんという方のブログ記事 からもうかがえるように、まとめて何枚か売却する株主は、報道される前から価格の下落を認識し、金券ショップごとの価格差に敏感になっているようである。

前掲の記事にあるように、今年7月のJALの大型増資によって11月に株主優待券が大量発行されたのが原因らしい。その増資と言えば、株主総会のわずか二日後に発表したという、あの増資である。それについてはあちこちで論評されているのでここでは詳しく書かないが、おさらいとして、増資の直後に亡くなった社外監査役の故・西村正雄さんのインタビュー記事 (日経ビジネス オンライン) が参考になるのでリンクを張って紹介しておく。

さて、株価のみならず株主優待券の価格も下落して、既存のJAL株主が損をしたのは誰の目にも明らかである。薄利となってしまった金券ショップも損をしただろう。一方で、増資後の新規の株主のうち、株主優待券を目当てにしている人は、安値で株を購入できて、得をしているのかもしれない。

JALはどうだろうか。経営が苦しいからこそ値上げをしているところへきて、株主優待券による半額の利用者が急増する。株主優待券の発行基準によると、小口の株主ならおよそ1000株につき年間1枚、大口ならおよそ2000株につき年間1枚とのことである。先の増資の規模は7億株 (約1470億円) であるから、株主優待券はおよそ年間35万~70万枚増加したことになる。控えめな仮定として、1枚あたり東京-大阪便と同程度の割引 (約11000円分) が適用されたとすると、およそ年間40億~80億円ほど運賃収入が減少する。増資によって得られた資金を、早ければ20年足らずで使い切ることになる。たいした問題でなければいいのだが。

では利用者 (たとえば私) にとってはどうなのだろうか?一見得をしたようであるが、スカイマークが撤退し、そのうえ元々の運賃の値上げが続いているなかでのことであるから、割引いて考える必要がある。しかしそれより大事なのは、やはり、JALの経営悪化によって安全対策が後退する危険性だろう。少々の節約なんぞより、命あっての物種である。とんでもない損をそのうち掴まされるのではないか?そんな考えを巡らせながら、私は明日の2007年元旦、羽田空港の搭乗口に向かう。頼むから墜落しないでくれ (苦笑)。少々物騒な締めくくりだが、皆さんよいお年を。

2006年4月 5日

株券等の電子化でも Unicode を採用し JIS X 0213 に対応

ほふり (証券保管振替機構) の株券電子化小委員会が「株券等の電子化に係る制度要綱」をとりまとめ、機構の先月 (2006年3月) の取締役会にて承認されたとのことである。それによると、文字コードについて、符号化方式は Unicode を採用し、文字集合は、経過措置として当初は JIS X 0208 (JIS第2水準まで) に人名用漢字を加えたものとし、そして、制度移行後の早い段階でJIS X 0213 (JIS第4水準まで) に完全対応することを目指すものとされている。

この新しい制度の策定について、文字コードはシフトJISの拡張で済ませる可能性があるとの観測を耳にしていた。JIS第3、第4水準に完全対応せず、一部の抜粋で済ませ、既存の外字と併用する、というような話だった。そんな怠惰にユーザ (株式会社や株主) が納得するとはとても思えなかっただけに、おおよそ妥当なほふりの結論を聞いてほっとしている。

ネット上で公開されている株式電子化小委員会における審議状況を見ると、文字コードについての方向付けが決まったのは、2005年8月の第3回委員会 (正確にはそれに先だって開かれた分科会) での議論だということである。委員会の配布資料には、(結論は Unicode とほとんど決まっているにしても) 今後他でも展開されそうな議論の論点が整理されており、とても参考になる。

この株式電子化小委員会においては、以下の三つの項目を文字コードに関する基本的な考え方として掲げていた。

  • 漢字情報を含み、汎用性が高いものであること。
    → 規格化されたコード体系を採用する(独自コードの設定は行わない)。
  • 株主の氏名等が適切に表現可能なものであること。
    → 広範な文字集合をカバーしたコード体系を採用する。
  • 関係者の負担が、振替制度への移行に伴うコストの削減効果に見合うものであること。
    → 各社の社内システムにおける文字情報の取扱い実態を踏まえて判断する。

第2回 株券電子化小委員会 (2005年7月5日) 資料3-3 「振替機関の指定する統一文字コードの決定に係る基本的な考え方」より編集

まっとうな考え方であり、文字コードの事情を多少なりとも知っていれば、時期はともかくも Unicode への移行を容易に想到するだろう。しかし、当初は必ずしもそうではなかったらしい。

アンケートでは望ましい文字コードとして、汎用性の高さを理由に22社中8社が「シフトJIS」を挙げ、5社が「Unicode」を挙げている。

第3回 株券電子化小委員会 (2005年8月30日) 資料3 「統一文字コード案について」

シフトJIS派の方が当初は多数であった。冒頭で紹介した、「文字コードはシフトJISの拡張で済ませる可能性がある」という観測の出所は、こうして公開資料からも確認することができる。本気で「望ましい」と思っていたのか、あるいは移行コストを避けたい願望の吐露なのか、その辺の真意はよく分からない。いずれにせよ、既存技術志向の反映であるのは間違いないところである。

しかし、その同じ第3回の資料において、

仮に過渡期の対応として、「JIS X 0208+α」案を統一文字集合として採用する場合であっても、将来の拡張性を念頭に置いた場合、文字コードについては、Unicode としておくことが適当と考えられるがどうか。

第3回 株券電子化小委員会 (2005年8月30日) 資料5 「統一文字集合及び統一文字コードについて(案)」

と、議論の方向性が言及されており、これ以降、文字コード (符号化方式) は Unicode ということになったようである。将来の拡張としては、JIS X 0213 にとどまらず、高島屋 (東証1部: 8233) の「髙」 (はしご高、U+9AD9) や、吉野家ディー・アンド・シー (東証1部: 9861) の「土」の下に「口」 (つちよし、U+20BB7) に対応するということも、Unicode の上で想定される。

ただし、Unicode 万歳とはいかない問題が、やはりここでも議論されている。

文字集合は「JIS X 0213」又は「JIS X 0213によって限定されたISO 10646中の日本語漢字」(※3)とすることでどうか。

(※3)「ISO 10646(UCS)」には2つの規格があり、実装済みのUCS-2では「JIS X 0213(JIS第一~第四水準)」のうち303文字が包含されない。一方のUCS-4では完全に包含される。

第3回 株券電子化小委員会 (2005年8月30日) 資料3 「統一文字コード案について」

UTF-16 で2バイト、UTF-8 でも3バイト以下に JIS X 0213 が収まってくれたならば、「JIS X 0213によって限定されたISO 10646中の日本語漢字」などという奇っ怪な選択肢を検討せずに済んだはずである。しかし現実には、303の漢字については1文字につき4バイトを使用する必要がある。(4月12日訂正: 4バイトの漢字数を302としていましたが、引用文の通り303が正しい数字でした。詳しくはコメント欄をご覧ください。安岡孝一さんご指摘どうもありがとうございました。)

結論としては JIS X 0213 完全対応を目指すこととなったものの、4バイトを忌避する議論は他所でもきっと展開されることだろう。あえてここで詳しく過去の議論を繰り返しはしない。しかし、JIS を中心とした文字コード規格行政の失敗がこうした事態を招いていることを、やはり指摘せざるを得ない。

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ブログ人登録 2008年03月15日