以前の記事「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」にも書いたように、このブログサービス (ココログフリー) の記事の末尾には、Google AdSense と呼ばれる仕組みによって、自動的に広告が挿入されている。
その広告を改変、削除することは、ココログ(フリー)利用規約によって禁止されている。もちろん、その広告収入によってココログ (ニフティ) はココログフリーを無料で提供しているのだし、利用規約を承諾した上で利用しているのだから、広告の挿入自体に文句を言うわけにはいかない。
しかし、たとえば、冒頭に挙げた記事には以下のような広告が挿入されている。
(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月24日抜粋)
まあ、これを真に受ける人はいないと思うけど (笑)、一応以下指摘する。まず、「これ以上の」といった最上級の表現は、それだけで問題である。リンク先のページを見ても、最上級を裏付ける科学的根拠らしい情報の提示はない
(あるわけがない)。また、「全額返金」などは虚偽であることが分かる (1箱目に限り「返品」は可能らしいが)。このような誇張・虚偽の表現を用いた広告は、健康増進法や景品表示法など関連法規に抵触しているはずである。
このような広告の表示について、ひとまず利用規約で認められる範囲内で対応すべく、広告の下に注意書きを自動挿入する対策を講じた。具体的には、ココログのメモリスト機能を使って、以下のようなスクリプト (JavaScript) を右側のサイドバーに埋め込んだ (画面には表示されない)。
<script type="text/javascript">
<!--
var message = '<div style="font-weight:bold;color:red;">(ブログ作者からのご注意)</div><span style="color:black;">この上に表示されている広告は、ブログ作者の意思に関わらず自動的に挿入されています。ブログサービス (ココログフリー) の利用契約上、ブログ作者は、サービスを無料で利用できる代わりに、これらの広告を改変、削除できません。関連法規やモラルを順守していない広告が表示されている可能性がありますので、ご注意ください。</span>';
function getFirstElementByClass(searchClass, rootElement, tagName) {
if (searchClass == null) {
return;
}
if (rootElement == null) {
rootElement = document;
}
if (tagName == null) {
tagName = "*";
}
var allElements = rootElement.getElementsByTagName(tagName);
var returnElement = null;
for (i = 0; i < allElements.length; i++) {
if (allElements[i].className == searchClass) {
returnElement = allElements[i];
break;
}
}
return returnElement;
}
function addMessage(element, message, valign) {
if (element == null || message == null) {
return;
}
if (valign == "top") {
element.innerHTML = message + element.innerHTML;
} else {
element.innerHTML = element.innerHTML + message;
}
}
function onLoadListener(e) {
addMessage(getFirstElementByClass("entry-body-bottom", document, "div"), message);
}
if (window.addEventListener) {
window.addEventListener("load", onLoadListener, false);
} else if (window.attachEvent) {
window.attachEvent("onload", onLoadListener);
}
// -->
</script>
このスクリプトは、広告の下にある空の div タグ (クラス名 entry-body-bottom) に、変数 message の HTML
文を自動挿入するものである。データの読み込み終了後、たとえば以下のように表示されているはずである。
(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月25日抜粋)
ブラウザにおいてスクリプト (JavaScript) の機能を無効にしている場合、この注意書きは表示されないが、Google AdSense
による広告の自動挿入も JavaScript を利用しているため表示されず、それはそれで構わないことになる。
このスクリプトは自由に利用していただいて構わない。そのままメモリスト機能へコピー&ペーストすれば動作する (と思う)。大したことはしていないので、HTML
と JavaScript のスキルが少々あれば容易に読解、改変できるだろう。ココログフリー以外のブログサービスでも、スクリプトを少々改変すれば利用可能な場合もあるだろう。なお、利用方法についての問い合わせには原則として回答しないことをご了承願いたい。
スクリプト作成の背景
当初、ものは試しと思い、「これ以上の科学的根拠」広告について関係各所に削除を依頼していた。
まず、3月上旬に、ココログの問い合わせ窓口にて以下のように問い合わせてみた。
(途中まで省略)
このような誇張・虚偽の表現を用いた広告は、
健康増進法や景品表示法など関連法規に抵触しているはずですが、
Google の広告審査をすり抜けて表示されています。
このような広告表示は、私だけでなく、
ブログサービスを提供しているニフティ様の信用をも毀損しかねないと
考えております。
Google と直接の契約関係があれば、AdSense の管理機能によって、
個別の広告を指定してブロックする対策が可能です。
https://www.google.com/adsense/support/bin/answer.py?answer=9716
しかし、私はココログフリーの一利用者にとどまるため、
そうした対策はとれません。
つきましては、ニフティ様に、以下のいずれかの対策をお願いしたく存じます。
・ニフティ様の AdSense 管理機能によって当該違法広告をブロックする。
・ニフティ様から Google に対し、当該違法広告を審査で除外するよう要請する。
お手数ですが、よろしくお願いいたします。
期待はしていなかった。そうした管理の義務までココログ (ニフティ) が負っているとは思っていない。ココログよりも Google、さらには広告主自身の責任だろう。あくまで試しに問い合わせてみたという程度のものである。
返ってきたメールは、ほぼ予想通り、広告の掲載基準や内容についての指摘は Google へ直接連絡してくれ、という内容であった。
次に、Google AdSense ヘルプ センターの問い合わせ窓口にて同様の問い合わせをした。2日後に返ってきたメールには、「Googleアドワーズ広告は、事後承認システムによる即時掲載のプログラムのため、承認前の広告が一時的に表示されてしまうことがございます。」に続けて、「お客様のご指摘の広告につきまして確認させていただきますので、広告テキスト、表示URL等、広告の詳細情報をお送りくださいますようお願いいたします。」とあった。
広告テキストも表示URLも当然伝えていたので、応対用の定型文をそのまま返してきたのは丸わかりだった。そこは我慢して「詳細情報」をメールで送ったら、
(土日をはさんで) 4日後に返ってきたメールは以下のようなものだった。
小川創生様
Google アドワーズ広告の広告主によるサービスの不具合に関し、ご連絡いただきありがとうございます。
アドワーズ広告プログラムでは、企業が自社のサービスの広告を掲載する場を提供しております。
弊社では顧客サービスを重視しており、広告主様にはユーザーに対する質の高いケアを期待しております。
しかしながら、弊社においてすべての企業の活動を監視できるわけではなく、またそのような責任も負っておりません。
お客様からのご連絡を受けまして、弊社ではこの広告主のアカウントを確認し不適切な点があるかどうかを調査いたします。
お客様におかれましてはその企業が所在している都市の公的機関等と連絡を取り、調査を依頼していただきますようお願い致します。
Google AdWords Team
「不具合」だって (笑)。最近気づいたのだが、この文面はGoogle アドワーズ広告サポートのQ&Aとほとんど同じであった。しかし、いかんせんタイトルが「広告主によるサービスの不具合」うんぬんなので、どうやら当時は見逃していたようだ。英語の原文では
"poor service" だから、そのまま訳すなら「劣悪なサービス」あたりが妥当だろう。こんなところで技術系のぼかし表現を使うとは。結局、定型文のコピーで2度もあしらわれてしまった。
それはさておき、「広告主によるサービス」や「すべての企業の活動」ではなく、広告の監視しか求めていないのに、Google は広告媒体としての責任を負うつもりはないということか。「調査いたします」とは言っているので一応しばらくの間様子を見ていたが、やはり当該広告は削除されなかった。
2度目のたらい回しだが、「その企業が所在している都市の公的機関等と連絡を取り、調査を依頼」せよと Google が言うので、当該広告主の所在地の大阪府健康福祉部薬務課医薬品流通グループ宛に、4月初旬にメールで連絡した。
「頂いた情報につきましては健康増進法、景品表示法担当部局に情報提供しました」という返事 (名前、所属、連絡先の署名付き) を2日後に頂いたものの、現在でも当該の広告は表示されている。対応の優先順位などの問題もあるだろうし、大阪府に対してあまりとやかく言うつもりはない。しかし、一般の市民ができることは、すでに一通りやり尽くしてしまった。
このように、ストレートに広告の削除を関係各所に要請しても、現状ではなかなか厳しいものがある。まして、一個人の利用者には、あれこれの広告にいちいち対応するのはほとんど無理であろう。
広告が自動挿入されない他のブログサービス (多くの場合は有料) に移転しようかとも考えた。しかし、面倒だし、少ないながらもリンクやブックマークがすでに張られている。広告以外の点についてはココログフリーをそれなりに気に入ってもいる。利用規約に触れない技術的対策を考えてこうして紹介するということにも一定の価値があるだろう。
あれこれ考え調べた結果、今回のような対策をひとまず講じておくことにしたという次第である。なお、自動挿入する注意書きの文面についてもあれこれ考えた。ニフティ
(ココログフリー) のビジネスモデルに配慮し、「サービスを無料で利用できる代わりに」という文言をあえて加えた。「無料で利用しているくせに」「よそに行けばいいのに」と反射的に突っ込まれそうだが、そこはあえてそうした。それを言わないとフェアではないと思っている。
ところで、ココログフリーの Google AdSense について、ちょっと前までは「--- Ads by Google ---」と表示されていた。(リンクの色の違いはデザイン変更によるもので意味はない)
(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を3月9日抜粋)
それが、現在では「Sponsored Link」と表示されている。
(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月24日抜粋)
これは改悪であろう。Google AdSense を用いたココログフリーのビジネスモデルを、なぜ利用者に明示しようとしないのだろうか?あるいは、Google
ではなくココログフリー (ニフティ) が広告について責任を負いますという意思表示なのだろうか?・・・たぶん違うだろう。
追記(2008年3月6日)
ココログフリー側の自動挿入広告の拡大に対応して、2008年3月にスクリプトを更新した。詳しくは「ココログフリーの自動挿入広告に対して注意書きを自動挿入するスクリプト Ver. 2」を参照。
最近のコメント