2008年3月 6日

ココログフリーの自動挿入広告に対して注意書きを自動挿入するスクリプト Ver. 2

ココログフリーではいつの間にか、GoogleやYahoo!などの検索結果からアクセスすると、冒頭の記事タイトルの直下にも自動挿入広告(Sponsored Link)が表示されるようになっていた。これにひとまず対応すべく、記事タイトルと広告の間にも注意書きを自動挿入するようにスクリプトを変更した。なお、他にもココログフリーには私にとって不都合な点が発生したため、他のブログサービスへの移転を検討中である(後述)。

そもそものスクリプトを作成した経緯は、「ココログフリーの自動挿入広告 (Google AdSense) の下に注意書きを自動挿入するスクリプト」を参照されたい。かいつまんで話すと、ココログフリーの自動挿入広告は、Google AdSense(グーグル アドセンス)と呼ばれる仕組みを導入しており、それを改変、削除することは、ココログ(フリー)利用規約によって禁止されている。しかしながら、関連法規に反するような劣悪な広告がしばしば表示されてしまい、ココログ(ニフティ)もGoogleもそうした広告の削除要請に応じてくれないという実態がある。そこで、利用者にできるとりあえずの対策として、注意書きを自動挿入するスクリプトを作成した、という次第である。この時点では、最初の記事の末尾にのみ広告が挿入されていた(だからまあいいかとも思える水準だった)。

ところが最近になって、記事の末尾だけでなく、GoogleやYahoo!などの検索サービスからアクセスすると、冒頭の記事タイトルの直下にも自動挿入広告が表示されるようになっていた。takoさんという方のブログ記事「*second message*: ココログ:フリー版の広告(Sponsored Link)表示がいつの間にか増えている件」を読んで知った。どうやら遅くとも今年1月にはそうした変更が施されていたようで、利用者には何の通知もなかった。ブログ作者は一般に、検索サービスではなくブックマークやブログ管理画面などから自身のブログにアクセスするだろうから、ずっと知らないままの人も多いと思う。

繰り返すが、ココログ(ニフティ)からは何の通知もなかった。だから私も知らなかった。試しに「小川創生」でGoogle検索した結果からこのブログにアクセスして、事実確認した。

こうした事態に対して、とりあえずの対策を再び施すことにした。手法はこれまでと基本的には同じで、ココログのメモリスト機能を使って、以下のようなスクリプト (JavaScript) を右側のサイドバーに埋め込んだ (画面には表示されない)。

<script type="text/javascript">
<!--

var message = '<div style="border: 1px solid gray;"><span style="font-weight:bold;">(ブログ作者からのご注意)</span><br><span style="color:black;">このブログに表示されている広告 (Sponsored Link) は、ブログ作者の意思に関わらず自動的に挿入されています。ブログサービス (ココログフリー) の利用契約上、ブログ作者は、サービスを無料で利用できる代わりに、これらの広告を改変、削除できません。関連法規やモラルを順守していない広告が表示されている可能性がありますので、ご注意ください。</span></div>';

function getFirstElementByClass(searchClass, rootElement, tagName) {
    if (searchClass == null) {
        return;
    }
    if (rootElement == null) {
        rootElement = document;
    }
    if (tagName == null) {
        tagName = "*";
    }
    var allElements = rootElement.getElementsByTagName(tagName);
    var returnElement = null;
    for (i = 0; i < allElements.length; i++) {
        if (allElements[i].className == searchClass) {
            returnElement = allElements[i];
            break;
        }
    }
    return returnElement;
}

function addMessage(element, message, valign) {
    if (element == null || message == null) {
        return;
    }
    if (valign == "top") {
        element.innerHTML = message + element.innerHTML;
    } else {
        element.innerHTML = element.innerHTML + message;
    }
}

function onLoadListener(e) {
    if (document.referrer) {
        var refSplit = document.referrer.split('?');
        if (AAFS.prototype.engines[refSplit[0]]) {
            addMessage(getFirstElementByClass("entry-body-top", document, "div"), message);
        }
    }
    addMessage(getFirstElementByClass("entry-body-bottom", document, "div"), message);
}

if (window.addEventListener) {
    window.addEventListener("load", onLoadListener, false);
} else if (window.attachEvent) {
    window.attachEvent("onload", onLoadListener);
}

// -->
</script>

具体的な変更点は、リンク元(document.referrer)のURLに検索サービスの文字列が含まれている場合に、冒頭の記事タイトルの下に注意書きを挿入するようにしたところである。その判定には、ココログ側のスクリプトの変数(AAFS.prototype.engines)を参照した。その他、注意書きの外枠や色などを若干変更した。

さて、ココログフリーについては、つい先日、1年以上更新しないブログは削除するとの通知があった。1年くらい間隔が開いてしまうことは普通にあり得る。単なるサボりだけではなく、病気、事故、仕事上の都合、その他いくらでも理由は考えられる(私にもあり得る)。そして、ブログ作者の死後もしかり。私なんかよりもずっと質・量の充実したブログでも、1年更新しなかったら削除されるようだ。

自動挿入広告の件といい、1年で削除といい、目先の収入拡大や管理コスト削減に汲々(きゅうきゅう)としているのだろうか。通知もなく(しばしば関連法規に反するような)広告を記事タイトル直下に追加したり、後出しで削除規定を持ち出したり。我慢の限界を超えてしまったので、有料でもいいから他のブログサービスへの移転を検討しているところである。

2008年2月15日

JAROに問い合わせてみて分かったこと

JARO(社団法人日本広告審査機構)と聞いて思い浮かべるのは、やはり、厳格なイメージであろう。どこかで広告を監視し、不適切な広告を見つけたら警告し、場合によっては当局に通報する、そんなパブリックイメージがあると思う。

しかし、JAROのWebページをよく読んでみると、そのイメージとはいささか異なることに気づく。「JAROとは」には、「消費者からの苦情や問い合わせをもとに、JAROは公平なスタンスで広告を審査し、問題のある場合は広告主へ広告の改善を促しています。」と書かれている。苦情や問い合わせがないと動かないの?広告主へ広告の改善を促すだけで終わりなの?

以前から気になっていた広告について、昨年(2007年)7月、試しに電話で問い合わせてみた。いつかブログに書こうと思いつつ放置していた会話記録のメモを、以下記す。(電話終了後にメモしたため、実際の会話とは若干表現が異なっている。)

JARO「はい、ジャロです。(ゆっくりした口調の低い声。40~50歳代の男性か。「ジャロ」というより「ジヤロ」という感じの発音。その声でその発音は少々ビビったが、もちろんご本人には何も非はない。)」

私「インターネット上の記事広告について問い合わせたくてお電話したのですが」

JARO「はい、どのような商品の広告ですか?」

私「健康食品の広告です。」

JARO「どちらのページですか?」

私「日経BPの『闘う男の健康食品講座』というページです。」

JARO「URL をおっしゃっていただきますか?」

私「エイチティティピーコロンスラッシュスラッシュ、(中略)、さぷる、エスユーピーピーエルイー・・・あ、サンプルではなく、さぷるです、エスユーピーピーエルイー。最後にスラッシュ、です。」

JARO「はい。・・・あ、出ましたね・・・。(独り言っぽく)これは記事広告なのかな?・・・」

私「連載記事になってますけど、その一つ一つが、健康食品の効果・効能をあれこれ書いてまして、3、4ページあって、その最後にサントリーの販売サイトへのリンクを張っている、そういう形態になってます。」

JARO「たとえば第23回『脳のアンチエイジング成分を求めて・・・』を見てみましょうか・・・」

私「はい」

JARO「・・・ああ、この、セサミンとか・・・ゴマペプ茶とかのリンクですね。」

私「はい、そうですそうです」

JARO「これは確かに・・・この場合ですと、健康増進法という法律がありまして、記事から販売ページへのリンクがあると、広告と見なされることになります。ですので、リンクを削除するといった対応が必要となります。」

私「なるほど、はい。(健康増進法よりも薬事法のほうが優先度が高いのでは?とは思いつつ、広告リンクについての注意点はご存じだったようで一応安堵)」

JARO「JAROから先方に、そのような問題があるということはお伝えします。そうした問題があるということを知らずにやっている場合も考えられますし、そうした場合には対応してくれると思います。」

私「ぜひお願いします。」

JARO「ただ、23回も連載していますし、(法的な問題があることを) 知っていて (意図的に) やっているということも考えられますので・・・。」

私「はい・・・ (まあ、実際そうなんだけど。これについては後述)」

JARO「そうなると、保健所にお問い合わせいただいた方が確実かもしれませんねえ。」

私「保健所、ですか?」

JARO「はい、健康増進法については、保健所が管轄しているんですよ。」

私「(東京都の関係当局のほうが話が早いのでは?と、この時点では思っていた。後で知ったのだが、保健所も都道府県や政令指定都市の所轄である。) ああ、そうなんですか、なるほど。」

JARO「それから、JAROはあくまで自主的に広告業界が襟を正す組織ですので、問題を先方に伝えるということはしますが、それ以上のことはいたしかねるということはご理解いただきたいのですが。

私「なるほど、それは理解しています (もとよりそれは理解していた)。・・・ただ、たしか日経BPってJAROの会員企業ですよね?」

JARO「ええ、たしかそのはずですし、こちらからの連絡を受け付ける窓口はあるはずですが、それ以上のことは、ということで・・・」

私「なるほど。」

JARO「もう金曜の午後ですので、来週の早々にでも先方に連絡します。その上で、ホームページの更新の手間もあるでしょうから、2週間ほど経ってから確認してみて、それでも修正されないようなら、保健所のほうに連絡していただけませんでしょうか?」

私「そちら (JARO) のほうから保健所には連絡していただけないのでしょうか?」

JARO「ええ、私ども (JARO) からは、行政当局などに連絡するというようなことは基本的に行っておりません。先ほど申しましたように、自主的に改善していくという趣旨の組織ですので・・・」

私「なるほど、そうしますと、私としては、先ほどおっしゃったように、2週間ほど様子を見て、修正されていないようなら、保健所のような関係当局に連絡すると良いということですね?」

JARO「はい、そのようにお願いします。(締めくくりとして、しっかりした口調で) 情報の提供、ありがとうございました。」

私「いえいえ。ではよろしくお願いします。」

この件については、すでに昨年の2月に、まず日経BP自身、次に東京都福祉保健局健康安全室へ、実名のメールで伝えていた。日経BPからは無反応であった。メールの直後に私のサイトへ日経BPとサントリーからアクセスしてきた記録はあるので、読んだ上で無視したことが伺える。やはり一個人ではなかなか相手にされない。東京都福祉保健局健康安全室からは、薬事監視課に情報提供を行ったとの返事を頂いたが、その後当該サイトに変化はなかった。東京都の当局や保健所もいろいろ忙しい(たとえば昨今の中国製ギョーザ問題とか)だろうし、他の違法なあれやこれやに比べれば当該広告の違法性は軽微なほうだろうから、そこまで手が回らないだろうことは想像がつく。なので、東京都の当局について悪くは思っていない。

なお、JAROへの電話連絡の直後、当該の連載サイトは最終回を迎えていた。しかし、過去の記事が修正されているわけではないし、最終回の記事の最後には相変わらずサントリーの広告リンクを掲載している。JAROへの電話問い合わせはブログのネタにしかならず、無駄だったようだ。

JAROの趣旨と、世間一般のイメージとの乖離(かいり)は、もっと認識されるべきだろう。残念ながら、JAROの会員企業にさえさしたる指導力を発揮できない、そういう民間の広告自主規制機関である。広告の苦情や問い合わせの窓口として、JAROはあまり適切な選択肢ではないだろう。エキサイトニュースのJARO紹介記事では、「活動内容は、その社名の通り、様々な広告を審査し「嘘・大げさ・まぎらわしい」広告に対して指導を行うことだそうです。あくまで行政機関ではないので強制は出来ないそうですが、このような活動のおかげで宣伝・広告の不正が防がれているのです。」としているが、これは過大評価である。

一方、行政当局に連絡するにしても、どこに連絡すればいいのか、何とも分かりづらい状況である。最近になって、消費者行政を一元化する「消費者庁」構想が唱えられている。広告の不正を防ぐ観点からも、ぜひ実現して欲しいと願う。

2008年1月 3日

Intelの「グリーンIT」バナー広告が電力を無駄遣い

最近、グリーンITという言葉がIT業界で注目され始めている。コンピュータシステムにおける電力消費が地球温暖化防止の観点から無視できないほど増加しているとされており、それを削減する努力が求められようとしている。ただし今のところは、商売上の明確なメリットがありそうなところはともかく、そうでないところはコストの問題もあって簡単には対応できないだろう。どのような対策がどの程度必要なのか、効果はあるのかといった検討や議論も含めて、とにかく啓蒙が始まったというところである。

詳しく知りたい人は、Googleで「グリーンIT」を検索してもトップに表示される日経ITProの「グリーンIT」をおすすめ・・・と言いたいところだが、そのトップページ上部に、なんとも悩ましいIntel(インテル)のバナー広告が表示される場合がある。(もしも表示されなければ何回かリロードするとそのうち現れる)

日経ITPro「グリーンIT」画像
日経ITPro「グリーンIT」を2008年1月2日閲覧、縮小して抜粋)

この広告はFlashのアニメーションである。3年ほど前に購入したノートPCのスペック(Windows XP SP2、Intel Celeron 2.7GHz、メモリ768MBへ増設)では不足しているのだろうか、アニメーションの一部(ジグソーパズルみたいな図形が高速で動く場面)がコマ送り状態となる。ページを表示したままにしていると、同じアニメーションがずっと繰り返される。そして、ただ表示しているだけで、冷却ファンの音が表示前よりもにぎやかになる。

WindowsのタスクマネージャでCPU使用率を確認してみた。バナー広告のアニメーションの繰り返しを、バナーを全部表示した状態で3周、次に、上半分をページ外にスクロールして下半分だけ表示した状態で2周させ、その後、バナー全部を非表示状態にした。(ページスクロールや他アプリケーションなどのCPU使用率への影響も多少ある。)普段使っているFirefoxだけでなく、Internet Explorer 6でも同様にテストしてみた。

Firefox CPU使用率グラフ
(Firefox 2 で当該バナー広告を表示した際のCPU使用率(全部表示3周、下半分表示2周))

IE 6 CPU使用率グラフ
(Internet Explorer 6 で当該バナー広告を表示した際のCPU使用率(全部表示3周、下半分表示2周))

どちらのブラウザにおいても、ピーク時のCPU使用率は85%以上が表示された。おそらく瞬間的には100%に振り切れているではないかと思う。ほんの3年前のIntel Celeron搭載ノートPCを捨てて最新のIntel Core 2搭載PCを買えという、Intelからのメッセージなのかもしれない。なかなかよくできた広告だ(苦笑)。

ブラウザの比較でいうと、IEよりもFirefoxのほうがCPU使用率が高くなっている。実際、ピーク時のアニメーションのコマ送り状態もFirefoxのほうが顕著で、グラフを横軸方向に比較すると、Firefoxのほうが波形の周期が長くなっている。また、最大のピーク時以外にも、Firefoxでは、CPU使用率30%程度の2番目のピークが有意に存在する。

Firefoxについては、CPUやメモリなどの資源を(IEよりも)多く使用しているという報告が様々なサイトでなされている。Firefox側もその点は認識しているようで、たとえばFirefoxサポートページの「CPU usage」(英語)に対策方法が述べられている。同様の内容を日本語でまとめたブログ記事「Amigomr の徒然日記 : Firefox の高 CPU 使用を防ぐ方法」もある(このAmigomrさんという方はMozilla Japanで翻訳を担当なさっているらしい)。

なお、どちらのブラウザも、半分表示の状態ではCPU使用率が有意に低下し、非表示状態ではほとんど0%となった。この点について、産業技術総合研究所の高木浩光さんのブログ記事「高木浩光@自宅の日記 - 環境負荷の高いIBM広告」を見つけた。(2005年の時点ですでに当該の問題に気づいてブログ記事にしておられる。さすがだ。)この記事の事例では非表示状態でもFlashバナー広告がCPUを使用し続けているとしているが、今回の私のテスト結果は異なっていた。その記事にトラックバックしているブログ記事「こがねむしblog - 環境負荷の高いIBM広告」でも異なる結果(私と同じ結果)だったようだ。(PC環境やFlashアニメーションなどの条件によって、そのあたりの挙動は違ってくるのかもしれない。)

ということで、閲覧しないWebページは放置せずに閉じるか、ページスクロールしたり他のウィンドウやタブを前面に表示したりしてFlashアニメーション広告を隠すといったグリーンIT対策が今後ユーザに求められるかもしれない・・・って違うだろ(笑)。

そもそも、「インテルの世界最高水準の電力消費低減テクノロジー」「インテルはグリーンITをこれからも牽引します」といった調子でグリーンITを啓蒙する広告が、そんな電力浪費Flashアニメーションをむやみに使用してしまっては言行不一致である。日経BP「グリーンIT」のサイト管理者にそうした意識があれば素晴らしいが、広告収入を得る立場ではまあ無理だろう。広告主のインテルにこそ、もっと高い意識を持って欲しいところだ。Intel Core 2の性能が適切に活かされる出番は他にいくらでもあるだろう。

2007年10月27日

金融商品取引法の広告規制についてのコラムを執筆、掲載した

勤め先(大和総研)のWebサイトに、「金融商品取引法がWebデザインに問いかけるもの」というコラムを執筆し、昨日掲載した。所属する部署(情報技術研究所)のコラムページが今月から立ち上がっていて、その第3回にあたる。興味のある方はどうぞ。

このコラムについては、ここで補足したいことがいろいろある。特に、野村證券グループのネット広告については、いろいろ言いたいことがある・・・が、しばらく自粛しておく。

ついでに、大和総研の従来のコラムページに掲載されている過去のコラムも以下リストアップしておく。よろしければどうぞ。

2007年9月22日

リタリン大量処方「東京クリニック」にみる Google AdSense の弊害

難治性うつ病などの治療に使われる一方で依存症の危険が指摘されている向精神薬の塩酸メチルフェニデート (商品名「リタリン」) を不適切に大量処方していた「東京クリニック (東京都新宿区)」。そのクリニックに東京都と新宿区保健所が立ち入り検査したとか、製薬会社が効能・効果の記載からうつ病の削除を検討しているとか、そんなニュースがここ数日伝えられた。

この東京クリニックというところは、ネット上のその筋では有名だったらしい。Google や Yahoo! JAPAN でも大々的な宣伝を展開しており、「リタリン」で検索すると、現在でもトップに広告が表示される。その広告を見て薬欲しさに来院する依存症患者も多数いただろう。


(Google にて「リタリン」で検索した結果を2007年9月22日抜粋)

(Yahoo! JAPAN にて「リタリン」で検索した結果を2007年9月22日抜粋)

いちいち「正しい診断・治療・薬の処方」と言い張っているところが象徴的でもある。

そもそも、薬品名をキーワードにして医療機関がネット広告を打つというのは、薬の処方自体をウリにしているわけで、診断・治療が主であるはずの医療機関として不適切ではないか。まっとうな医療機関ならば、病名の「うつ病」をキーワード指定するだろう。薬局が薬を宣伝するのとは訳が違う。

東京クリニック自身によって広告投稿が取り下げられることを期待する。あるいは、遅くとも行政指導が下るなどの明確な理由が発生した際には、不適切広告として Google や Yahoo! JAPAN (その子会社のオーバーチュア(Overture)) が削除することを期待する。いつどのように広告を再審査するのかは難しい問題だとは思うが。

さて、今回の件を伝える Web 上のニュースをいくつか見ているうちに、コンテンツ連動型広告の Google AdSense (アドセンス) を導入している新聞社や通信社の記事にも東京クリニックの広告が堂々と表示されているのを見つけた。


(時事通信「時事ドットコム:リタリン不適切処方で立ち入り=新宿のクリニックに-東京都」(2007年9月18日)を2007年9月22日抜粋)

東京クリニックといい、その下の「うつ病でもできちゃった」といい、実に嘆かわしい。Google はもとより、ネットについて批判的な言説の多い旧来のメディアも、読者の注意を喚起することなく、こうしたいかがわしい広告のクリック数に応じた収入を得ていることになる。

他の新聞社 Web サイトの記事でも東京クリニックの広告は表示されており、たとえば、朝日新聞 (asahi.com) の記事読売新聞 (YOMIURI ONLINE) の記事 でも確認できた。

そして、産経新聞 (Sankei WEB) で見かけた記事では、これまたひときわ興味深い状態となっている。


(産経新聞「「うつ病」効能の削除検討 リタリン乱用で製造会社|科学|カルチャー|Sankei WEB」(2007年9月21日)を2007年9月22日抜粋)

きっと、何らかの判断があって「東京クリニック」という名前は記さず、「東京都新宿区の診療所」と表記したはずである。それが、その直下の広告によって台無しになっている。

なお、日本経済新聞 (NIKKEI NET) の関連記事の場合、Google AdSense の対象となる記事の分野が「スポーツ」「新製品」「リリース」などに限定されているため、当該広告は表示されていない。批判の対象としているはずのいかがわしい業者の広告が自動表示されてしまう危険を考えれば、せめて一般のニュース記事は Google AdSense の対象外としておくべきだろう。(ただし、日経の「新製品」「リリース」では、新製品発表やプレスリリースに合わせた広告リンクが無チェック状態で表示されてしまう危険があるため、その点については、読者にとっては他紙よりも注意が必要である。)

自身が広告媒体であるはずの新聞社の Web サイトが Google AdSense を導入することの問題点は、以前の記事「Google AdSense を導入する新聞社の免責主張は無責任な二枚舌」にも書いた。収益におけるそうした広告への依存度が高まれば、それこそ、批判を含む表現の自由の阻害要因になりかねない。やはり、報道機関は Google AdSense のような他社のコンテンツ連動型広告システムの是非を再考すべきである。

なお、このブログ (ココログフリー) にも Google AdSense は導入されており、この記事の内容に連動して東京クリニックの広告がこの下に表示されてしまうかもしれない。あらためて、東京クリニック、ココログ (ニフティ)、Google のいずれかによって広告が削除されることを期待する。そして、これほど問題視されている広告主の広告がいつまでも削除されないようなら、やはり他のブログサービスへの移転を考えるべきだと思わざるを得ない。

2007年6月19日

Google AdSense を導入する新聞社の免責主張は無責任な二枚舌

媒体責任についての最高裁判例

先月の記事では、このブログ (ココログフリー) の記事末尾に表示されるコンテンツ連動型広告 (Google AdSense) における虚偽・誇張の広告について、ニフティ、Google に問い合わせたが相次いでたらい回しされ、行政当局 (大阪府健康福祉部薬務課) に問い合わせたものの今のところ削除されていないという経緯を書いた。

そもそも、広告について、広告媒体 (テレビ、新聞や Web サイトなど) にはどのような責任があるとされているのか、Google AdSense についての最初の記事を書いて以来、ずっと気になっていた。調べてみたら、1989年 (平成元年) の最高裁判例があることを、主に以下の二つの文献から知った。

「日本コーポ分譲マンション事件」あるいは「日本コーポ広告事件」と呼ばれる当該の事件では、原告はマンション販売の新聞広告を見て日本コーポと購入契約を結んだが、その後日本コーポが倒産してしまい、マンションの引き渡しも内金の返金も受けられなかった。そうした被害を受けた原告が新聞社に損害賠償を請求したという裁判である。平成元年9月19日最高裁判決では、要点を抜粋すると以下のようなことが述べられている。(一文だけの引用なのだが長すぎるので改行を加えた。)

すなわち、元来新聞広告は取引について一つの情報を提供するものにすぎず、読者らが広告を見たことと当該広告に係る取引をすることとの間には必然的な関係があるということはできず、とりわけこのことは不動産の購買勧誘広告について顕著であって、広告掲載に当たり、広告内容の真実性をあらかじめ十分に調査確認した上でなければ、新聞紙上にその掲載をしてはならないとする一般的な法的義務が新聞社等にあるということはできないが
他方、新聞広告は、新聞紙上への掲載行為によって初めて実現されるものであり、広告に対する読者らの信頼は、高い情報収集能力を有する当該新聞社の報道記事に対する信頼とまったく無関係に存在するものではなく、広告媒体業務にも携わる新聞社並びに同社に広告の仲介・取り次ぎをする広告社としては、新聞広告のもつ影響力の大きさに照らし、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって読者らに不測の損害を及ぼすおそれがあることを予見し、または予見しえた場合には、真実性の調査確認をして、虚偽広告を読者らに提供してはならない義務があり、その限りにおいて新聞広告に対する読者らの信頼を保護する必要があると解すべきところ、
事実関係によれば、本件掲載等をした当時、被上告人らにおいて真実性の調査確認義務があるのにこれを怠って掲載等をしたものとはいえない。

(「日本コーポ広告事件」平成元年9月19日最高裁判決文を、疋田聰. "新聞広告における媒体責任について". 東洋大学 経営論集. Vol.51, 2000, 319-328. より2次引用、改行・強調は引用者による)

要は、新聞社等に広告掲載についての一般的な法的義務はなく、裁判所で媒体責任が認められるには何らかの特別な事情が必要らしい。特別な事情というのは、判決文にもあるように、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別な事情であって、さらに、虚偽・誇張の広告による読者の損害を予見しえた場合に法的義務があるということになる。また、先に挙げた弁護士の山元裕子さんの文献では、記事か広告か一見区別がつかない場合、媒体側が積極的に推奨している場合や、媒体が販売に関与している場合などでは媒体責任が認められる可能性があるとしている。このほか、タウン情報誌の広告に掲載した電話番号が間違えていたために間違い電話が第三者に多数かかってきた事件などでは、出版社の責任が裁判で認められたそうだ。

健康増進法の広告規制に対する新聞社の主張

新聞社側は、新聞広告における媒体責任について、たとえば健康増進法のガイドライン案に対する厚生労働省への意見書の中で、以下のように述べている。

改正健康増進法第32条の2により、「何人」にも虚偽誇大広告等を禁じていることを理由に、ガイドライン案は、「広告等を依頼した食品等の製造業者又は販売業者」と並べて、無条件で、当該広告等を掲載した新聞社に媒体責任を課している。これは明らかに、広告掲載についての媒体責任に関する諸判例、すなわち「広告の責任は広告主にある」との社会通念上も、また法的にも確定している原則に照らし、不適当であり削除すべきである。ことさら媒体責任に言及することにより、広告表現に対する過剰な規制が行われ、自由な広告表現が阻害されるおそれがある。

(中略)

新聞各社は、広告の責任は広告主にある、との原則に立ちながら、読者保護の観点から広告の審査業務を行っており、また広告の浄化を目的に新聞広告審査協会を設立して、広告の事前、事後調査、一般読者からの苦情相談などの体制を整えてきた。さらに新聞界は日本広告審査機構 (JARO)の設立に積極的に関わり、同機構は消費者からの広告に関する苦情、意見に対応している。ガイドライン案は、こうした関係業界の自主規制努力を顧みず、広告主企業である製造業者等と媒体を同列にとらえ、虚偽誇大広告の掲載責任を媒体に問うていることは、極めて問題であり、媒体責任に言及した個所は削除すべきである。

(社団法人日本新聞協会. "改正健康増進法のガイドライン案等に関する日本新聞協会広告委員会の意見". 2003年7月23日.)

社会通念上も法的にも、原則として広告掲載についての媒体責任はない、にもかかわらず任意で広告審査などの自主規制努力を払っているのだから、媒体責任を課すのはなおさら問題だ、そのように新聞社は主張している。

しかし、そうした新聞社側の主張を踏まえつつも、現在の当該ガイドラインは以下のようになっている。

1 広告依頼者の第一義的責任
 広告の掲載を依頼し、販売促進その他の利益を享受することとなる当該食品製造業者又は販売業者(以下「広告依頼者」という。)が、法第32条の2の規制の適用の対象者となるのは当然である。

2 同条と広告媒体との関係
 これに対し、広告依頼者から依頼を受けて、当該「広告その他の表示」を掲載する新聞、雑誌、テレビ、出版等の業務に携わる者は、依頼を受けて広告依頼者の責任により作成された「広告その他の表示」を掲載、放送等することから、直ちに同条の適用の対象者となるものではない。
 しかしながら、当該「広告その他の表示」の内容が虚偽誇大なものであることを予見し、又は容易に予見し得た場合等特別な事情がある場合においては、広告依頼者とともに同条の適用があり得る。

(厚生労働省医薬食品局長. "食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項(平成15年8月29日食安基発第0829001号・食安監発第0829005号 最終改正平成17年6月1日)" (PDF形式))

ああ、なるほど、これは先述した「日本コーポ広告事件」最高裁判決を踏まえてアレンジした記述なのだ、と合点がいく。社会通念上も法的にも、これが妥当であろう。製造・販売業者と同列に媒体責任を課していたとされる当初の厚生労働省のガイドライン案も、媒体責任の記述を削除せよとする新聞社側の主張も、どちらも妥当性を欠くものである。そして、「諸判例」を根拠として挙げている新聞社に対しては、判例の一面的なつまみ食いをしていると言わざるを得ない。

Google AdSense を導入する新聞社が主張する「免責」は二枚舌

さて、ここまで調べ考えてみると、新聞の Web サイトに Google AdSense を導入することの不自然さに気づく。ほかでもない、新聞自体が広告媒体であるはずだからだ。ブログなどの一般の Web サイトとは、その導入の意味するところは根本的に異なるはずである。

しかし、発行部数6位までの新聞の Web サイトを確認してみると、YOMIURI ONLINE (読売新聞)、asahi.com (朝日新聞)、NIKKEI NET (日本経済新聞)、Sankei WEB (産経新聞) の4社が Google AdSense を導入している。なお、MSN毎日インタラクティブ (毎日新聞) は MSN (Microsoft) の広告システムを導入している。自前ですべての広告を審査、管理していそうなのは、CHUNICHI Web (中日新聞) だけである。

Google AdSense を導入している4社のうち、読売、朝日、日経の3社は、Google AdSense の上部に小さく表示される「Ads by Google」という文字をクリックすると開くウィンドウにおいて、新聞社の免責を以下のように主張している。

 この広告はGoogleによって提供される、コンテンツに連動した広告システムAdSense(アドセンス)です。

 これらの広告は、あらかじめ広告主が指定したキーワードを元にサイトの内容に対して関連のある広告を自動的に配信するものです。表示結果の内容は Googleの広告掲載基準や条件を満たしたものですが、一切の責任は広告主及びリンク先ウェブサイトの運営者にあります。読売新聞社は、その内容に一切 の責任を負いません。

 これらのGoogleの広告についてのお問い合わせ及び詳細はwww.google.co.jp/ads/をご覧下さい。

(YOMIURI ONLINE (読売新聞) にて「Ads by Google」をクリックすると開くウィンドウ より引用)

上記は読売の文面を引用したが、朝日の文面日経の文面も同様である。なお、産経の場合は、Google AdSense に固有の注意書きはなく、サイト全体の利用規約にて広告一般の免責条項が記されているのみである。産経よりは他の3社のほうが少しはマシかもしれないが、そもそも「Ads by Google」をクリックすると免責条項が現れることを、それこそ読者は「容易に予見し得」ない。結局、みんな同類である。

このように、新聞社は、一方で自主規制努力をアピールして広告表現の自由を維持しようとしておきながら、Google AdSense を導入して「Googleの広告掲載基準」に丸投げし、広告料を稼いでいる。「読者保護の観点から広告の審査業務を行っており」などと言ってなかったっけ?二枚舌ではないか?

新聞の信頼を新聞社自ら Google レベルにおとしめるのか

そもそも、「一切の責任を負いません」というのも不当ではないか?少々ブログ検索してみると、同様の疑問を呈している記事を、少ないながらも一つ見つけた。関西大学社会学部教授の水野由多加さんのブログ記事 So-net blog:千里一隅(旧・千里山一里):Ads by Googleのメディアビジネス がそれである。

一義的には、朝日新聞社に大きな問題がある。なぜならば「その広告を見る人はAsahi.comの広告を見ている」のであり、「記事に連動した内容の広告 が自動的に露出するから」、その受け手の意識の流れの利用について朝日新聞社が免責とは考えにくい。さらに朝日新聞社は、この広告掲出について(当然なが ら)広告対価を「受け取っている」のである。広告費の支払は受け取って、一切それが原因となるようなトラブルには免責とは、どのような論理なのだろうか。
しかし、ことはAds by Googleである。Ads by GoogleはAsahi.comに「上記のような取引を持ちかけた」のである。契約のもう一方の当事者としての倫理はどう考えるべきか。

(So-net blog:千里一隅(旧・千里山一里):Ads by Googleのメディアビジネス より引用)

当の Google は、設立への実績を新聞社が強調する日本広告審査機構 (JARO) には入会していない。広告の苦情に対する Google の姿勢を示す事例として、虚偽・誇張の広告について Google に問い合わせた際の定型文返信メールを、先月の記事に引き続き、ここに再掲する。

小川創生様

Google アドワーズ広告の広告主によるサービスの不具合に関し、ご連絡いただきありがとうございます。

アドワーズ広告プログラムでは、企業が自社のサービスの広告を掲載する場を提供しております。

弊社では顧客サービスを重視しており、広告主様にはユーザーに対する質の高いケアを期待しております。

しかしながら、弊社においてすべての企業の活動を監視できるわけではなく、またそのような責任も負っておりません。

お客様からのご連絡を受けまして、弊社ではこの広告主のアカウントを確認し不適切な点があるかどうかを調査いたします。

お客様におかれましてはその企業が所在している都市の公的機関等と連絡を取り、調査を依頼していただきますようお願い致します。

Google AdWords Team

本来は新聞社が広告を審査して掲載するはず (べき) で、読者も普通はそう認識している。なぜそれを、Google に丸投げするのだろうか。それは、「広告に対する読者らの信頼は、高い情報収集能力を有する当該新聞社の報道記事に対する信頼とまったく無関係に存在するものではなく」と認めてくれた最高裁判決と読者に対する裏切りであろう。

言うまでもないが、Google には、そのような読者 (利用者) の信頼はない。この論点において、Google は格付けの低いジャンクに過ぎない。

新聞社は、Google AdSense の導入をやめるか、さもなくば、広告審査等の自主規制努力を払っている (だから広告表現の自由を阻害するな) などという従来の主張をやめるべきである。どちらかしかないはずである。後者を選ぶならば、新聞社の信頼はそこいらの Web サイトと同レベルだということになる。

2007年5月26日

ココログフリーの自動挿入広告 (Google AdSense) の下に注意書きを自動挿入するスクリプト

以前の記事「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」にも書いたように、このブログサービス (ココログフリー) の記事の末尾には、Google AdSense と呼ばれる仕組みによって、自動的に広告が挿入されている。

その広告を改変、削除することは、ココログ(フリー)利用規約によって禁止されている。もちろん、その広告収入によってココログ (ニフティ) はココログフリーを無料で提供しているのだし、利用規約を承諾した上で利用しているのだから、広告の挿入自体に文句を言うわけにはいかない。

しかし、たとえば、冒頭に挙げた記事には以下のような広告が挿入されている。



(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月24日抜粋)

まあ、これを真に受ける人はいないと思うけど (笑)、一応以下指摘する。まず、「これ以上の」といった最上級の表現は、それだけで問題である。リンク先のページを見ても、最上級を裏付ける科学的根拠らしい情報の提示はない (あるわけがない)。また、「全額返金」などは虚偽であることが分かる (1箱目に限り「返品」は可能らしいが)。このような誇張・虚偽の表現を用いた広告は、健康増進法や景品表示法など関連法規に抵触しているはずである。

このような広告の表示について、ひとまず利用規約で認められる範囲内で対応すべく、広告の下に注意書きを自動挿入する対策を講じた。具体的には、ココログのメモリスト機能を使って、以下のようなスクリプト (JavaScript) を右側のサイドバーに埋め込んだ (画面には表示されない)。

<script type="text/javascript">
<!--

var message = '<div style="font-weight:bold;color:red;">(ブログ作者からのご注意)</div><span style="color:black;">この上に表示されている広告は、ブログ作者の意思に関わらず自動的に挿入されています。ブログサービス (ココログフリー) の利用契約上、ブログ作者は、サービスを無料で利用できる代わりに、これらの広告を改変、削除できません。関連法規やモラルを順守していない広告が表示されている可能性がありますので、ご注意ください。</span>';

function getFirstElementByClass(searchClass, rootElement, tagName) {
    if (searchClass == null) {
        return;
    }
    if (rootElement == null) {
        rootElement = document;
    }
    if (tagName == null) {
        tagName = "*";
    }
    var allElements = rootElement.getElementsByTagName(tagName);
    var returnElement = null;
    for (i = 0; i < allElements.length; i++) {
        if (allElements[i].className == searchClass) {
            returnElement = allElements[i];
            break;
        }
    }
    return returnElement;
}

function addMessage(element, message, valign) {
    if (element == null || message == null) {
        return;
    }
    if (valign == "top") {
        element.innerHTML = message + element.innerHTML;
    } else {
        element.innerHTML = element.innerHTML + message;
    }
}

function onLoadListener(e) {
    addMessage(getFirstElementByClass("entry-body-bottom", document, "div"), message);
}

if (window.addEventListener) {
    window.addEventListener("load", onLoadListener, false);
} else if (window.attachEvent) {
    window.attachEvent("onload", onLoadListener);
}

// -->
</script>

このスクリプトは、広告の下にある空の div タグ (クラス名 entry-body-bottom) に、変数 message の HTML 文を自動挿入するものである。データの読み込み終了後、たとえば以下のように表示されているはずである。

(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月25日抜粋)

ブラウザにおいてスクリプト (JavaScript) の機能を無効にしている場合、この注意書きは表示されないが、Google AdSense による広告の自動挿入も JavaScript を利用しているため表示されず、それはそれで構わないことになる。

このスクリプトは自由に利用していただいて構わない。そのままメモリスト機能へコピー&ペーストすれば動作する (と思う)。大したことはしていないので、HTML と JavaScript のスキルが少々あれば容易に読解、改変できるだろう。ココログフリー以外のブログサービスでも、スクリプトを少々改変すれば利用可能な場合もあるだろう。なお、利用方法についての問い合わせには原則として回答しないことをご了承願いたい。

スクリプト作成の背景

当初、ものは試しと思い、「これ以上の科学的根拠」広告について関係各所に削除を依頼していた。

まず、3月上旬に、ココログの問い合わせ窓口にて以下のように問い合わせてみた。

(途中まで省略)

このような誇張・虚偽の表現を用いた広告は、
健康増進法や景品表示法など関連法規に抵触しているはずですが、
Google の広告審査をすり抜けて表示されています。

このような広告表示は、私だけでなく、
ブログサービスを提供しているニフティ様の信用をも毀損しかねないと
考えております。

Google と直接の契約関係があれば、AdSense の管理機能によって、
個別の広告を指定してブロックする対策が可能です。
https://www.google.com/adsense/support/bin/answer.py?answer=9716
しかし、私はココログフリーの一利用者にとどまるため、
そうした対策はとれません。

つきましては、ニフティ様に、以下のいずれかの対策をお願いしたく存じます。
・ニフティ様の AdSense 管理機能によって当該違法広告をブロックする。
・ニフティ様から Google に対し、当該違法広告を審査で除外するよう要請する。

お手数ですが、よろしくお願いいたします。

期待はしていなかった。そうした管理の義務までココログ (ニフティ) が負っているとは思っていない。ココログよりも Google、さらには広告主自身の責任だろう。あくまで試しに問い合わせてみたという程度のものである。

返ってきたメールは、ほぼ予想通り、広告の掲載基準や内容についての指摘は Google へ直接連絡してくれ、という内容であった。

次に、Google AdSense ヘルプ センターの問い合わせ窓口にて同様の問い合わせをした。2日後に返ってきたメールには、「Googleアドワーズ広告は、事後承認システムによる即時掲載のプログラムのため、承認前の広告が一時的に表示されてしまうことがございます。」に続けて、「お客様のご指摘の広告につきまして確認させていただきますので、広告テキスト、表示URL等、広告の詳細情報をお送りくださいますようお願いいたします。」とあった。

広告テキストも表示URLも当然伝えていたので、応対用の定型文をそのまま返してきたのは丸わかりだった。そこは我慢して「詳細情報」をメールで送ったら、 (土日をはさんで) 4日後に返ってきたメールは以下のようなものだった。

小川創生様

Google アドワーズ広告の広告主によるサービスの不具合に関し、ご連絡いただきありがとうございます。

アドワーズ広告プログラムでは、企業が自社のサービスの広告を掲載する場を提供しております。

弊社では顧客サービスを重視しており、広告主様にはユーザーに対する質の高いケアを期待しております。

しかしながら、弊社においてすべての企業の活動を監視できるわけではなく、またそのような責任も負っておりません。

お客様からのご連絡を受けまして、弊社ではこの広告主のアカウントを確認し不適切な点があるかどうかを調査いたします。

お客様におかれましてはその企業が所在している都市の公的機関等と連絡を取り、調査を依頼していただきますようお願い致します。

Google AdWords Team

「不具合」だって (笑)。最近気づいたのだが、この文面はGoogle アドワーズ広告サポートのQ&Aとほとんど同じであった。しかし、いかんせんタイトルが「広告主によるサービスの不具合」うんぬんなので、どうやら当時は見逃していたようだ。英語の原文では "poor service" だから、そのまま訳すなら「劣悪なサービス」あたりが妥当だろう。こんなところで技術系のぼかし表現を使うとは。結局、定型文のコピーで2度もあしらわれてしまった。

それはさておき、「広告主によるサービス」や「すべての企業の活動」ではなく、広告の監視しか求めていないのに、Google は広告媒体としての責任を負うつもりはないということか。「調査いたします」とは言っているので一応しばらくの間様子を見ていたが、やはり当該広告は削除されなかった。

2度目のたらい回しだが、「その企業が所在している都市の公的機関等と連絡を取り、調査を依頼」せよと Google が言うので、当該広告主の所在地の大阪府健康福祉部薬務課医薬品流通グループ宛に、4月初旬にメールで連絡した。

「頂いた情報につきましては健康増進法、景品表示法担当部局に情報提供しました」という返事 (名前、所属、連絡先の署名付き) を2日後に頂いたものの、現在でも当該の広告は表示されている。対応の優先順位などの問題もあるだろうし、大阪府に対してあまりとやかく言うつもりはない。しかし、一般の市民ができることは、すでに一通りやり尽くしてしまった。

このように、ストレートに広告の削除を関係各所に要請しても、現状ではなかなか厳しいものがある。まして、一個人の利用者には、あれこれの広告にいちいち対応するのはほとんど無理であろう。

広告が自動挿入されない他のブログサービス (多くの場合は有料) に移転しようかとも考えた。しかし、面倒だし、少ないながらもリンクやブックマークがすでに張られている。広告以外の点についてはココログフリーをそれなりに気に入ってもいる。利用規約に触れない技術的対策を考えてこうして紹介するということにも一定の価値があるだろう。

あれこれ考え調べた結果、今回のような対策をひとまず講じておくことにしたという次第である。なお、自動挿入する注意書きの文面についてもあれこれ考えた。ニフティ (ココログフリー) のビジネスモデルに配慮し、「サービスを無料で利用できる代わりに」という文言をあえて加えた。「無料で利用しているくせに」「よそに行けばいいのに」と反射的に突っ込まれそうだが、そこはあえてそうした。それを言わないとフェアではないと思っている。

ところで、ココログフリーの Google AdSense について、ちょっと前までは「--- Ads by Google ---」と表示されていた。(リンクの色の違いはデザイン変更によるもので意味はない)

(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を3月9日抜粋)

それが、現在では「Sponsored Link」と表示されている。

(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月24日抜粋)

これは改悪であろう。Google AdSense を用いたココログフリーのビジネスモデルを、なぜ利用者に明示しようとしないのだろうか?あるいは、Google ではなくココログフリー (ニフティ) が広告について責任を負いますという意思表示なのだろうか?・・・たぶん違うだろう。

追記(2008年3月6日)

ココログフリー側の自動挿入広告の拡大に対応して、2008年3月にスクリプトを更新した。詳しくは「ココログフリーの自動挿入広告に対して注意書きを自動挿入するスクリプト Ver. 2」を参照。

2007年2月14日

薬事法関連の広告審査について Overture (Yahoo!) と Google を比較した

先の記事「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」では、コンテンツ連動型広告 (Google AdSense) あるいは検索連動型広告 (Google AdWords) におけるキーワードの登録について、薬事法などの法規に抵触していないかチェックする責任が広告主や Google にはあるだろうと述べた。これについては、Google だけではなく、Overture (Yahoo! 傘下) も同様のサービスを展開しており、同様の議論が当てはまる。検索連動型広告では Google よりも日本の市場占有率は上であり、Yahoo!、MSN、エキサイトなど、およそ Google 以外の主要な検索サービスに Overture が導入されている。そこで、両社の比較を試みた。

GoogleYahoo! JAPAN の検索サービスにおいて、成分名または疾患・症状名を検索キーワードとし、当該成分を含む健康食品の広告リンクが現れるかどうかをテストした。疾患・症状名から広告リンクが現れるようだと、薬事法関連の広告審査や自主規制が甘いのではということになる。一方、疾患・症状名からも成分名からも広告リンクが現れないようだと、そもそも広告が存在しないのではということになる。つまり、成分名では広告リンクが現れ、疾患・症状名では現れない場合、薬事法関連の審査や自主規制が機能している可能性が認められることになる。

なお、成分名、疾患・症状名の選出においては、日経BPの「闘う男の健康食品講座 時間をかけずに,必要な栄養成分を摂る!」というサイトを参考にした。このサイトは、サントリーの「取材協力」のもとで藤木理絵さんという記者が書いた記事広告である。成分の医薬品的な効能効果をあれこれ記述した上でサントリーの (医薬品等ではない) サプリメント商品を紹介し、記事の最後では販売サイトにリンクするという構成である。典型的なバイブル商法のネット版であり、薬事法に抵触していると考えている。(このサイトについて、これ以上の話はまた後日ということで。)

疾患・症状名で検索して広告リンクが表示された場合に絞って、テスト結果を表にしてまとめた。限られたキーワードを対象としており、広告リンクについても、(私の)見落としがあり得る上に時々刻々と広告主は変化するだろうことを踏まえて、ご覧頂きたい。

成分名
疾患・症状名
Google Yahoo! JAPAN
(Overture)
有無判定対象とした広告リンク
マカ 有り (多数有り) 有り (多数有り) ・サントリーのマカ
・サントリーのマカ冬虫夏草
不妊 有り (サントリーのみ) 無し
精力減退 有り (サントリーのみ) 無し
グルコサミン 有り (多数有り) 有り (多数有り) ・サントリーのグルコサミン
・辛い関節を何とかしたい方
(www.admate.jp)
・元気でアクティブな毎日を応援
(www.cgate.co.jp)
関節痛 有り (サントリー以外も有り、
「その他のスポンサー」に
サントリーが存在)
有り (サントリーは無し)
アントシアニン
(ブルーベリー)
有り (多数有り) 有り (多数有り) ・サントリーのブルーベリー
・ブルーベリーならサントリー
・サントリー 瞳の健康法
・目の疲れを感じたら!
(kokoro33.health-life.net)
・TVで紹介されました
(www.783793.com)
・甘酸っぱいおいしさで人気急上昇
(megu.vivian.jp)
・医者が選ぶサプリメントの通販
(www.ordersupli.com)
・パソコンなどよく使う方に
(www.ably.co.jp)
・朝日新聞で取り上げられた
(famima.foodpark.jp)
疲れ目 有り (サントリー以外も有り) 有り (サントリーは無し)
眼精疲労 有り (サントリー以外も有り) 有り (サントリーは無し)
ドライアイ 有り (サントリーは無し) 無し
肩こり 有り (サントリーは無し) 無し
DHA, EPA 有り (多数有り) 有り (多数有り) ・サントリーの「DHA&EPA」
血行不良 有り (サントリーのみ) 無し
甜茶 有り (多数有り) 有り (多数有り) ・話題の快適グッズはケンコーコム
(www.kenko.com)
花粉症 無し (ただし他の成分の
健康食品は有り)
有り (サントリーは無し)
ノコギリヤシ 有り (多数有り) 有り (多数有り) ・サントリーのノコギリヤシ
前立腺肥大症 有り (サントリーのみ) 無し
残尿感 有り (サントリーのみ) 無し
頻尿 有り (サントリーのみ) 無し
表: 成分名、疾患・症状名をキーワードとして Google、Yahoo! で検索した際の広告リンクの有無 (2月12日調査)
(注意) 疾患・症状に対する効能効果の真偽は考慮していない。

念のため、表に挙げた疾患・症状に対する効能効果が、各成分、各商品に本当にあるのかどうかは、ここでは考慮していない。医薬的な効能効果を標榜している時点で、真偽を問わず薬事法の規制の対象となる。薬事法以外の、たとえば健康増進法においては、虚偽・誇大かどうかが問われてくる。(そのうえでの参考として、国立研究・栄養研究所の「「健康食品」の安全性・有効性情報」によると、たとえばアントシアニンについては、「俗に、「視力回復によい」「動脈硬化や老化を防ぐ」「炎症を抑える」などといわれているが、ヒトでの有効性・安全性については、信頼できるデータが十分ではない。」としている。)

テスト結果を見る限り、どうやら、Yahoo! JAPAN (Overture) のほうが、薬事法関連の広告審査が厳しいように見える。

このことは、両者の規約等からも伺える。Overture においては、「掲載ガイドライン」という文書において、日本の薬事法による規制を明記している。

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品など
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの広告につきましては、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布することが法律により禁じられています。また、その効能効果について表現できる範囲が定められています。なお、公務所、学校、各種団体、医師などがこれらの医薬品などを指定、公認、推薦し、又は選用している旨などの広告も認められておりません。なお、健康食品、健康器具、美容器具、健康雑貨などについても、医薬的な効能効果を標榜した場合は、その規制対象となることがあります。所管官公庁が示す基準、考え方や具体的にどのような行為が違反とされているかについては、東京都福祉保険局健康安全室薬事監視課のホームページなどでご確認ください。
東京都福祉保険局健康安全室薬事監視課Webサイト
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/yakuji/kansi/cm/top.html
化粧品の効能効果の表現の範囲
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/yakuji/kansi/cm/cosme.pdf

(オーバーチュア株式会社 掲載ガイドライン(2006年12月)より引用)

一方、Google においては、「Google AdWords コンテンツ ポリシー」という文書において、かろうじて以下の一文が掲載されている。

妙薬
医薬品でないにもかかわらず効果効能を宣伝する広告は許可されません ("一晩でがんが治る" など)。

(Google AdWords: コンテンツ ポリシー (日本語に切り替え) より引用)

「妙薬」ってなんぞや? と思い、英語の原文を当たってみた。実は、「医薬品でないにもかかわらず効果効能を宣伝する広告」という表現は、日本の薬事法に沿った改訂であることが分かった。

Miracle Cures
Advertising is not permitted for the promotion of miracle cures, such as 'Cure cancer overnight!'

(Google AdWords: Content Policy (英語に切り替え) より引用)

「一晩でがんが治る」という例示がどうも極端だと思ったら、これはやはり「妙薬」の例示であった。Google なりの努力の跡は伺えるものの、いささか心もとない。

ただし、Google も日本の薬事法関連の広告審査をやっているそうだ (そりゃそうだ)。インターネット広告代理店の株式会社アイレップの記事「Google アドワーズの“審査”を再確認しよう」によると、登録キーワードと広告文の双方について、審査が行われているとのことである。検索連動型広告の Google AdWords では、まず、使用禁止キーワード (非公開) との自動照合を実施しているそうで、薬事法関連の使用禁止キーワードも用意されているとのことである。これに引っかかると、人間による事前審査に回されるそうである (引っかからなくても事後審査はある)。一方で、コンテンツ連動型広告の Google AdSense では、最初から人間による事前審査が行われるそうである。

一方、Overture では、検索連動型広告であっても、人間による事前審査が実施されているそうである。また、アイレップの別の記事「リスティング広告出稿における薬事法クリアのポイント」によると、少なくとも Overture の広告審査では、疾患・症状名のみならず、医薬的な効能効果を標榜する表現は実際に広告掲載お断りとなっているそうだ (Google でも、人間による審査は同様であろう)。

少なくとも、疾患・症状名をキーワードに登録することは、それだけで医薬品的な効能効果を標榜しているとみなされる。テスト結果では Yahoo! JAPAN (Overture) と比べて審査漏れの目立つ Google においても、成分名で検索した場合と比べて疾患・症状名で検索した場合の当該広告リンクは激減している。一定の審査あるいは自主規制が効いていることは十分に伺える。

とはいえ、いくつかの疾患・症状名で Google 検索してみると、サントリーの広告リンクの審査漏れは際だっている。他社が手を引いてしまうようなキーワードでも、サントリーだけが健康食品のリンク広告として表示されているという場合が Google では散見される。その理由として、そういう宣伝方針なのがサントリーのみであるという可能性のほかに、Google の審査をすり抜けやすい独自のノウハウやコネを持っているのかもしれない (あくまで想像だが)。

さて、本来こういうテストは、網羅的、定期的に実施するべきだろう。しかし、私一人ではとても手に負えそうもない (苦笑)。どこかの信頼できる公的機関がやってくれないだろうか?

2007年2月 3日

薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense

まず、「症状別サプリメント逆引き事典」というサイトの、不妊に悩む人にマカ等を勧めるページから抜粋した以下の画像を見てもらいたい。

不妊の悩み

(「不妊の悩みを解消したい:症状別サプリメント逆引き事典」の表示画面を1月28日抜粋)

不妊に悩む人にマカを勧めること自体はあくまで表現の自由の範ちゅうである。しかし、Web ページにおけるこのような状態は、健康食品の広告を規制する薬事法や健康増進法などの関連法規逃れではないか?というのがこのブログ記事の主旨である。

なにも該当事例はこのサイトだけではない。もうひとつ、Sankei WEB (産経新聞) のページから抜粋した以下の画像を見てもらいたい。(サントリーに注目)

産経新聞の画像

(「そろそろ季節… 花粉症グッズはそろってますか?|健康|生活・健康|Sankei WEB」の表示画面を1月30日抜粋)

花粉症に効くという科学的根拠がたとえあったとしても、単なる飲料やサプリメントである限り、このような状態は薬事法に抵触するのではないか?(この事例の場合、サントリーへのリンクのタイトルが「花粉の季節を乗切る準備を」となっているのは、サントリー単体でも問題があると思われる。) ただし、産経新聞の記事自体はあくまで表現の自由の範ちゅうであるというところに注意して欲しい。そこがこの話のポイントである。

なお、これらのサイトや広告リンクを事例として取り上げたことについては、分かりやすい事例をそこで見つけたという以上の他意はない。たとえば asahi.com (朝日新聞) や YOMIURI ONLINE (読売新聞) も Google AdSense を導入しており、健康食品会社等の PR をそのまま記事にした場合は同様の状態が発生する可能性がある。実際、さまざまなサイトでこうした事例は散見される。

Google AdSense

このブログ記事の末尾にも、広告リンクが「--- Ads by Google ---」として自動的に挿入されている。Web サイトの文章からキーワードを拾い出し、それに該当する広告リンクを表示するということを、Google が自動的に行っている。これを Google AdSense (グーグル アドセンス) と呼ぶ。広告主は、キーワードを指定し、キーワードの人気度に応じて Google に登録料 (オークションで決定) を支払っている。ココログの無料版 (ココログフリー) では、無料でブログサービスを提供する代わりに、Google AdSense をブログに挿入し、広告リンクのクリック回数に応じてニフティが Google から成果報酬を得るという構図となっている。ココログフリーのブログの作者 (たとえば私) は、その広告を改変・削除しないという利用条件に同意した上でココログフリーを無償利用している。

Google AdSense によってどんな広告リンクが表示されるのかは、表示されてみないと分からない。Web ページを更新すれば広告リンクも当然変化するし、何も Web ページを更新しなかったとしても、Google 側の広告主データベースが更新されれば、やはり広告リンクも変化する。そして、表示したくない広告を個別に指定して除外するといった管理も可能である。ただし、このココログフリーについて言えば、Google と直接契約しているココログ (ニフティ) にはそうした管理が可能であるものの、ブログの作者 (たとえば私) には不可能である。

あらためてネットサーフィンしてみると、新聞やブログに限らず、さまざまなサイトがすでに Google AdSense を導入していることが分かる。テレビにおける電通のような地位を、インターネットでは Google が占めそうな勢いである。

健康食品の広告と関連法規

さて、健康食品の広告や表示の法的規制については、法律の素人 (たとえば私) でも分かるように、東京都福祉保健局健康安全室のサイトで詳しく説明されており、関係資料も入手できる。薬事監視課監視指導係の「医薬品等の広告規制について(薬事法)」と健康安全課食品医薬品情報係の「「健康食品ナビ」 健康食品を取扱う際の確認ポイント」あたりを入り口として閲覧すると情報を探しやすい。

健康食品の広告や表示は、主に以下の法律によって規制されている。

  • 薬事法
  • 健康増進法
  • 景品表示法
  • 特定商取引法
  • 食品衛生法
  • JAS法

たとえば「不妊にはマカが効きます」と言うこと自体は表現の自由であるが、マカから製造したサプリメント (栄養補助食品であって、栄養「機能」食品ではないことに注意) などの商品広告において記載すると、不妊に効くと認められた医薬品、医薬部外品、特定保健用食品、栄養機能食品のいずれにも該当しないならば、薬事法第68条 (承認前の医薬品等の広告の禁止) に違反することになる。また、実際にマカが不妊に効くのかどうか、国立健康・栄養研究所では「健康な男性の性欲を改善することが示唆された」とする1文献しか把握していないようであり、もしも科学的根拠がないのならば、健康増進法第32条の2 (誇大表示の禁止) にも違反することになる。他社食品との差別化を図った誇大・虚偽の表示ということであれば、景品表示法第4条第1項第1号 (不当な表示の禁止) にも違反することになる。さらにインターネット上の通信販売の広告ならば特定商取引法第12条 (誇大広告等の禁止) にも違反することになる。

なお、「納豆の成分には体脂肪を減らすダイエット効果がある」という納豆の広告においては、納豆は明らかに食品と認識されるもの (「明らか食品」) なので、薬事法違反には該当しない。特定の納豆商品に限った広告というわけでなければ、景品表示法違反にも該当しない。しかし、納豆の成分が体脂肪を減らすという科学的根拠がないのならば、健康増進法に違反することになる。(2月20日訂正: 「通信販売の広告なら特定商取引法に違反することになる」と記述していたが、納豆は同法の指定商品の番号1「動物及び植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る。)であって」(以下略) に該当しないと考えられるため、記述を削除した。サプリメントであれば該当する。) なお、納豆ではなくイソフラボン・サプリメントであれば、薬事法違反にも該当する。

広告という形を取らず、書籍等における表現の自由を悪用しようとしているのが、いわゆるバイブル商法である。健康食品の効能、効果、体験談等をバイブル本として自由に書き立て、巻末等に販売業者の連絡先を記述しておくという手口である。これについては厚生労働省から関係団体あてに「書籍の体裁をとりながら、実質的に健康食品を販売促進するための誇大広告として機能することが予定されている出版物(いわゆるバイブル本)の健康増進法上の取扱いについて」という通知が2004年7月に出されており、悪質な業者には行政指導がなされている。これは、先に挙げた健康増進法第32条の2 (誇大表示の禁止) が2003年8月に施行されたのを受けてのものである (そもそも薬事法等にも違反しており、通知にもその旨記載されているのだが、なぜそれまで野放しに?)。

健康食品におけるリンクの法的規制

ただ、もうひとつ正確に把握しきれないのは、インターネット上のリンクについての法的規制である。

ひとまず以下の4通りの態様に分類してみる。

  1. Aが管理する、健康食品Xの販売サイト ⇒ Aが管理する、成分Pの効能・効果等の解説サイト
  2. Aが管理する、健康食品Xの販売サイト ⇒ Bが管理する、成分Pの効能・効果等の解説サイト
  3. Aが管理する、成分Pの効能・効果等の解説サイト ⇒ Aが管理する、健康食品Xの販売サイト
  4. Aが管理する、成分Pの効能・効果等の解説サイト ⇒ Bが管理する、健康食品Xの販売サイト

1と 3は、サイト管理者が共通であり、実質的には同一の態様である。販売サイトと解説サイトを一体とみなせる。

2は、たとえばイソフラボン・サプリメントの製造・販売業者が「発掘!あるある大事典II」の公式サイト (番組打ち切り発表とともに1月23日閉鎖) にリンクを張っていた場合が該当する。Aは製造・販売業者、健康食品Xはイソフラボン・サプリメント、Bは関西テレビ、成分Pはイソフラボンである。

4は、要するにバイブル商法のネット版である。

リンクについて言及している厚生労働省の文書としては、主に健康増進法に関する、「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項」(2005年6月最終改正) と「健康増進法上問題となるインターネット広告表示(例)」(2004年1月) を見つけた。ただし、これらの文書が言及しているのは1、3、4であり、2については言及されていない。また、薬事法など、他の法律について同じ条件をそのまま適用するのかどうかは定かではないが、そもそもの趣旨からして、ほぼ同様の条件なのではと推察する。

1と3については、議論の余地は小さいだろう。

2については、リンク先、たとえば「発掘!あるある大事典II」の公式サイトが直接に違法性を問われることはないと思われる。しかし、リンク元の製造・販売業者の片棒担ぎと見られるのを嫌ったのか、先の記事でも記したように、「あるある」の名前を使って商品を販売する業者と当番組とは一切関係ないとの「ご注意!」というポップアップが表示され、さらに、産業技術総合研究所の高木浩光さんのブログ記事「あるある大事典が「一切リンクお断り」としていた心境を推察すると見えてくるもの」にもあるように、「当HPへのリンクについては、一切お断りしておりますのでご了承ください。」と赤字で書かれていた。

もしかしたら、「あるある」は何らかの法的リスク (違法業者がリンクしたがる誇大・虚偽のサイト内容を放置することが民法上の不法行為と認定されてしまうとか) を恐れていたのかもしれない。Internet Archive によると、「リンク一切お断り」赤字表記が追加されたのは2004年8月頃、「ご注意!」ポップアップが追加されたのは2005年3月頃であり、健康増進法改正による規制強化後にそうした追加が施されたことになる。内容を改めるのが本筋のはずなのに。何かの免罪符のつもりだったのだろうが、「放送が国民に最大限に普及」「放送の不偏不党、真実及び自律を保障」というような原則を記した放送法の精神に「あるある」が背いていたのは、こうした Web 上の事象からも読み取れていた。

話を元に戻す。4 (バイブル商法のネット版) については、リンク元 (A) の解説サイトが以下の条件を満たすとき、厚生労働省は健康増進法違反と判断するそうだ。

  • 顧客を誘引する意図が明確にあること。
  • 特定食品の商品名等が明らかにされていること。
  • 一般人が認知できる状態であること。

そして、規制の適用を受けるのはリンク元 (A) で、執るべき是正措置はリンクの削除となる。販売サイトを管理するリンク先 (B) がリンク元 (A) にリンクを依頼していた場合は、当然リンク先 (B) も規制の適用を受ける。

「顧客を誘引する意図が明確にあること」を裏付ける Google AdWords

ここで、冒頭で挙げた画像をもう一度見てもらいたい。

産経新聞の画像

(「そろそろ季節… 花粉症グッズはそろってますか?|健康|生活・健康|Sankei WEB」の表示画面を1月30日抜粋)

先ほどの三つの条件が薬事法にそのまま適用されるのかどうかは分からないが、条件はすべて満たしているように見える。議論の余地が残されているとすれば、Google AdSense によるそうした自動的な表示に「顧客を誘引する意図が明確にある」かどうかであろう。

ただしこの事例において、広告主のサントリーには、Google AdSense を利用して「顧客を誘引する意図が明確にある」ようである。Google で「花粉」をキーワードにして検索した以下の画像を見てもらいたい。

Google にて「花粉」で検索

(Google で「花粉」をキーワードにして検索した表示画面を2月2日抜粋)

右側のスポンサー欄の上から3番目にサントリーの「甜茶」が表示される。なんと、その上下には、サッポロ飲料の「ホップ研究所」とアサヒ飲料の「べにふうき緑茶」も表示されている (苦笑)。当該の記事に出てくる「花粉症対策商品」のうち、ビール系飲料メーカー3社すべてが表示されていることになる。

そして、リンク先のサントリーとサッポロ飲料のサイトには、当然ながら花粉症に対する効能は記載されていない。自社サイトに直接書いてしまうと薬事法に抵触するからである。なお、アサヒ飲料の場合は、「花粉アシスト!」というれっきとした栄養機能食品とセットで緑茶を販売するという、つい感心 (笑) してしまうような手法である。

Google 検索において、このようなキーワードに連動した広告リンクを表示する機能を、Google AdWords (グーグル アドワーズ) と呼ぶ。Google AdSense と同様に、あらかじめ広告主がキーワードを指定し、オークションで決定した登録料を Google に支払っている。そして、偶然の要素を否定できない Google AdSense と違って、Google AdWords は100%意図を持った表示である。つまり、サントリーなどビール系飲料メーカー3社には、「花粉」というキーワードから自社サイトへ「顧客を誘引する意図が明確にある」ということになる。そして、Google AdWords においてその意図を確認できれば、Google AdSense における偶然の要素は否定される。「花粉」というキーワードが Web ページにあれば Google AdSense が自動的に広告リンクを表示することを、サントリーは明確に意図しているわけである。

ちなみに、「不妊」をキーワードにして検索してみると、「サントリーのマカ」が現れる。そんなばかな (笑)。どうも複数の商品で常態化しているようだ。

広告主、Google、Google AdSense を導入する Web サイト、それぞれにどのような責任があるのだろうか?キーワードの指定に関しては広告主の責任だし、Google にも広告代理店としてそれをチェックする責任があるだろう。では、Google AdSense を導入する Web サイトは?自社の広告では言えない事柄を、表現の自由が許される Google AdSense 付きマスメディアを利用して PR している場合は?・・・すでに長文になってしまったので、ひとまずこれくらいにしておく。

最後に、この下に表示されるであろう Google AdSense について、どんな広告リンクが表示されるのか、私には管理不能であることを念のため繰り返しておく。

追記

Google AdSense に関して、カテゴリー「広告」にその後の記事あり。

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ブログ人登録 2008年03月15日