コラム『ITの世界に「トリアージ」は有り得ない』を執筆、掲載した
勤め先(大和総研)のWebサイトに、『ITの世界に「トリアージ」は有り得ない』(分社化に伴い10月にURL変更)というコラムを執筆し、先月末に掲載した。興味のある方はどうぞ。
「トリアージ」という言葉を私が知ったのは、NHKスペシャル「トリアージ 救命の優先順位」(初回放送2007年4月)という番組だった。初回放送時にも観たし、今年4月の再放送時にも観た。その番組では、107名もの死者を出したJR福知山線脱線事故にて実施されたトリアージを題材としていた。そうした本来のトリアージの重さと比べて、IT業界の一部で呼称している「トリアージ」は一体何なのかと疑問に思ったことが、コラム執筆の出発点であった。
IT業界内で私と同じようなことを思っている人はいないのかなと検索してみたら、M.I.R.A.I. MUGEN というベンチャー企業の田中令子さんのブログ記事を見つけた。
もう一つ、トリアージという言葉をIT業務で使いたくない理由。
私が普段使う「トリアージ」の意味にあります。
被災者のケガの具合で4段階に色分けされたカードを医師の判断で
次々と付けていきます。救護者は、そのカードに応じて手当てを行います。
↓Wikipedia の解説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B8
災害ボランティアの私としては、、、切ない。
ITの業務では「優先順位」にしときます。頑固者なので。
(田中令子. 「ITの世界のトリアージって?」. システム屋日誌. 2007年1月16日.)
こういう時にこういう方を見つけると、素直に嬉しいものだ。私も、ITの業務では「優先順位」にしときます。頑固者なので。
ついでに、当のコラムでは明示しなかったが、いろいろ閲覧した中で特に許容し難かった事例をここに引用する。
コタツモデルで行うこと,それは,ビジネス戦略,ビジネス・オペレーション,要求の関係を見える化することです。そして取捨選択することが重要となります。ここでは,この取捨選択のことをトリアージ*1といいましょう。
*1 トリアージ(triage)は,要求を戦略的に取捨選択すること。もともとは医学用語で,有限のリソース(医師や医薬品など)を最大限に活用し,各患者の病状や状況に合わせて,より多くの傷病者の治療をするために優先順位を決定することを指す。
トリアージとは,焼き鳥のことではありません。ビジネス戦略を見える化し,その戦略の中から,ここ数年最も重要な戦略を選択することです。ビジネス戦略を見える化して,トリアージ可能にすることが重要です。
(萩本順三. 「ビジネス価値を高めるためのビジネス戦略トリアージと要求」. 要求開発アライアンスのビジネス・モデリング道場. 日経ITpro. 2007年2月15日.)
「トリアージ」と言ってみたかっただけちゃうんか? というか、言ってみたかっただけですと公言している事例である。さらには「焼き鳥のことではありません」だって? あきれてものが言えない。
他にもコラムについて補足したいことはいろいろあるけれど、それはまたの機会ということで。
コラム、読ませていただきました。ITの世界でトリアージが使われ始めたいきさつなど、、、参考になりました。
投稿 田中令子 | 2008年6月25日 23:49
田中さんコメントどうもありがとうございます。最近でも、ある大学の経営学の先生が不用意に「トリアージ」を持ち出してネット上で物議を醸していました。やはりこの言葉は医療においてのみ使って欲しいと思います。
投稿 小川創生 | 2008年6月26日 07:18