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2007年5月26日

ココログフリーの自動挿入広告 (Google AdSense) の下に注意書きを自動挿入するスクリプト

以前の記事「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」にも書いたように、このブログサービス (ココログフリー) の記事の末尾には、Google AdSense と呼ばれる仕組みによって、自動的に広告が挿入されている。

その広告を改変、削除することは、ココログ(フリー)利用規約によって禁止されている。もちろん、その広告収入によってココログ (ニフティ) はココログフリーを無料で提供しているのだし、利用規約を承諾した上で利用しているのだから、広告の挿入自体に文句を言うわけにはいかない。

しかし、たとえば、冒頭に挙げた記事には以下のような広告が挿入されている。



(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月24日抜粋)

まあ、これを真に受ける人はいないと思うけど (笑)、一応以下指摘する。まず、「これ以上の」といった最上級の表現は、それだけで問題である。リンク先のページを見ても、最上級を裏付ける科学的根拠らしい情報の提示はない (あるわけがない)。また、「全額返金」などは虚偽であることが分かる (1箱目に限り「返品」は可能らしいが)。このような誇張・虚偽の表現を用いた広告は、健康増進法や景品表示法など関連法規に抵触しているはずである。

このような広告の表示について、ひとまず利用規約で認められる範囲内で対応すべく、広告の下に注意書きを自動挿入する対策を講じた。具体的には、ココログのメモリスト機能を使って、以下のようなスクリプト (JavaScript) を右側のサイドバーに埋め込んだ (画面には表示されない)。

<script type="text/javascript">
<!--

var message = '<div style="font-weight:bold;color:red;">(ブログ作者からのご注意)</div><span style="color:black;">この上に表示されている広告は、ブログ作者の意思に関わらず自動的に挿入されています。ブログサービス (ココログフリー) の利用契約上、ブログ作者は、サービスを無料で利用できる代わりに、これらの広告を改変、削除できません。関連法規やモラルを順守していない広告が表示されている可能性がありますので、ご注意ください。</span>';

function getFirstElementByClass(searchClass, rootElement, tagName) {
    if (searchClass == null) {
        return;
    }
    if (rootElement == null) {
        rootElement = document;
    }
    if (tagName == null) {
        tagName = "*";
    }
    var allElements = rootElement.getElementsByTagName(tagName);
    var returnElement = null;
    for (i = 0; i < allElements.length; i++) {
        if (allElements[i].className == searchClass) {
            returnElement = allElements[i];
            break;
        }
    }
    return returnElement;
}

function addMessage(element, message, valign) {
    if (element == null || message == null) {
        return;
    }
    if (valign == "top") {
        element.innerHTML = message + element.innerHTML;
    } else {
        element.innerHTML = element.innerHTML + message;
    }
}

function onLoadListener(e) {
    addMessage(getFirstElementByClass("entry-body-bottom", document, "div"), message);
}

if (window.addEventListener) {
    window.addEventListener("load", onLoadListener, false);
} else if (window.attachEvent) {
    window.attachEvent("onload", onLoadListener);
}

// -->
</script>

このスクリプトは、広告の下にある空の div タグ (クラス名 entry-body-bottom) に、変数 message の HTML 文を自動挿入するものである。データの読み込み終了後、たとえば以下のように表示されているはずである。

(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月25日抜粋)

ブラウザにおいてスクリプト (JavaScript) の機能を無効にしている場合、この注意書きは表示されないが、Google AdSense による広告の自動挿入も JavaScript を利用しているため表示されず、それはそれで構わないことになる。

このスクリプトは自由に利用していただいて構わない。そのままメモリスト機能へコピー&ペーストすれば動作する (と思う)。大したことはしていないので、HTML と JavaScript のスキルが少々あれば容易に読解、改変できるだろう。ココログフリー以外のブログサービスでも、スクリプトを少々改変すれば利用可能な場合もあるだろう。なお、利用方法についての問い合わせには原則として回答しないことをご了承願いたい。

スクリプト作成の背景

当初、ものは試しと思い、「これ以上の科学的根拠」広告について関係各所に削除を依頼していた。

まず、3月上旬に、ココログの問い合わせ窓口にて以下のように問い合わせてみた。

(途中まで省略)

このような誇張・虚偽の表現を用いた広告は、
健康増進法や景品表示法など関連法規に抵触しているはずですが、
Google の広告審査をすり抜けて表示されています。

このような広告表示は、私だけでなく、
ブログサービスを提供しているニフティ様の信用をも毀損しかねないと
考えております。

Google と直接の契約関係があれば、AdSense の管理機能によって、
個別の広告を指定してブロックする対策が可能です。
https://www.google.com/adsense/support/bin/answer.py?answer=9716
しかし、私はココログフリーの一利用者にとどまるため、
そうした対策はとれません。

つきましては、ニフティ様に、以下のいずれかの対策をお願いしたく存じます。
・ニフティ様の AdSense 管理機能によって当該違法広告をブロックする。
・ニフティ様から Google に対し、当該違法広告を審査で除外するよう要請する。

お手数ですが、よろしくお願いいたします。

期待はしていなかった。そうした管理の義務までココログ (ニフティ) が負っているとは思っていない。ココログよりも Google、さらには広告主自身の責任だろう。あくまで試しに問い合わせてみたという程度のものである。

返ってきたメールは、ほぼ予想通り、広告の掲載基準や内容についての指摘は Google へ直接連絡してくれ、という内容であった。

次に、Google AdSense ヘルプ センターの問い合わせ窓口にて同様の問い合わせをした。2日後に返ってきたメールには、「Googleアドワーズ広告は、事後承認システムによる即時掲載のプログラムのため、承認前の広告が一時的に表示されてしまうことがございます。」に続けて、「お客様のご指摘の広告につきまして確認させていただきますので、広告テキスト、表示URL等、広告の詳細情報をお送りくださいますようお願いいたします。」とあった。

広告テキストも表示URLも当然伝えていたので、応対用の定型文をそのまま返してきたのは丸わかりだった。そこは我慢して「詳細情報」をメールで送ったら、 (土日をはさんで) 4日後に返ってきたメールは以下のようなものだった。

小川創生様

Google アドワーズ広告の広告主によるサービスの不具合に関し、ご連絡いただきありがとうございます。

アドワーズ広告プログラムでは、企業が自社のサービスの広告を掲載する場を提供しております。

弊社では顧客サービスを重視しており、広告主様にはユーザーに対する質の高いケアを期待しております。

しかしながら、弊社においてすべての企業の活動を監視できるわけではなく、またそのような責任も負っておりません。

お客様からのご連絡を受けまして、弊社ではこの広告主のアカウントを確認し不適切な点があるかどうかを調査いたします。

お客様におかれましてはその企業が所在している都市の公的機関等と連絡を取り、調査を依頼していただきますようお願い致します。

Google AdWords Team

「不具合」だって (笑)。最近気づいたのだが、この文面はGoogle アドワーズ広告サポートのQ&Aとほとんど同じであった。しかし、いかんせんタイトルが「広告主によるサービスの不具合」うんぬんなので、どうやら当時は見逃していたようだ。英語の原文では "poor service" だから、そのまま訳すなら「劣悪なサービス」あたりが妥当だろう。こんなところで技術系のぼかし表現を使うとは。結局、定型文のコピーで2度もあしらわれてしまった。

それはさておき、「広告主によるサービス」や「すべての企業の活動」ではなく、広告の監視しか求めていないのに、Google は広告媒体としての責任を負うつもりはないということか。「調査いたします」とは言っているので一応しばらくの間様子を見ていたが、やはり当該広告は削除されなかった。

2度目のたらい回しだが、「その企業が所在している都市の公的機関等と連絡を取り、調査を依頼」せよと Google が言うので、当該広告主の所在地の大阪府健康福祉部薬務課医薬品流通グループ宛に、4月初旬にメールで連絡した。

「頂いた情報につきましては健康増進法、景品表示法担当部局に情報提供しました」という返事 (名前、所属、連絡先の署名付き) を2日後に頂いたものの、現在でも当該の広告は表示されている。対応の優先順位などの問題もあるだろうし、大阪府に対してあまりとやかく言うつもりはない。しかし、一般の市民ができることは、すでに一通りやり尽くしてしまった。

このように、ストレートに広告の削除を関係各所に要請しても、現状ではなかなか厳しいものがある。まして、一個人の利用者には、あれこれの広告にいちいち対応するのはほとんど無理であろう。

広告が自動挿入されない他のブログサービス (多くの場合は有料) に移転しようかとも考えた。しかし、面倒だし、少ないながらもリンクやブックマークがすでに張られている。広告以外の点についてはココログフリーをそれなりに気に入ってもいる。利用規約に触れない技術的対策を考えてこうして紹介するということにも一定の価値があるだろう。

あれこれ考え調べた結果、今回のような対策をひとまず講じておくことにしたという次第である。なお、自動挿入する注意書きの文面についてもあれこれ考えた。ニフティ (ココログフリー) のビジネスモデルに配慮し、「サービスを無料で利用できる代わりに」という文言をあえて加えた。「無料で利用しているくせに」「よそに行けばいいのに」と反射的に突っ込まれそうだが、そこはあえてそうした。それを言わないとフェアではないと思っている。

ところで、ココログフリーの Google AdSense について、ちょっと前までは「--- Ads by Google ---」と表示されていた。(リンクの色の違いはデザイン変更によるもので意味はない)

(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を3月9日抜粋)

それが、現在では「Sponsored Link」と表示されている。

(「薬事法・健康増進法逃れに利用される Google AdSense」末尾の広告を5月24日抜粋)

これは改悪であろう。Google AdSense を用いたココログフリーのビジネスモデルを、なぜ利用者に明示しようとしないのだろうか?あるいは、Google ではなくココログフリー (ニフティ) が広告について責任を負いますという意思表示なのだろうか?・・・たぶん違うだろう。

追記(2008年3月6日)

ココログフリー側の自動挿入広告の拡大に対応して、2008年3月にスクリプトを更新した。詳しくは「ココログフリーの自動挿入広告に対して注意書きを自動挿入するスクリプト Ver. 2」を参照。

2007年5月20日

サッカーくじ toto BIG のキャリーオーバーの本質

最高6億円が当たるという toto BIG は、キャリーオーバーが約15億円あることから話題となって、昨日 (5月19日) 締め切りの第278回では過去最高の約61億円の売り上げを記録した。なるほど、キャリーオーバーも売り上げも少ない時は、たとえば宝くじ (還元率46.3%) などと比べても、toto BIG は分が悪すぎるくじである。

特に、キャリーオーバー (加算金) が完全に0の時は、売り上げがいくら大きくても、当たった口数がいくら少なくても、当せん金の上限は3億円となってしまう。

(払戻金)
第12条
1口当たりの払戻金は、関係法令に定めるところにより、スポーツ振興投票の類型ごとかつ第5条第1項による指定試合の数及び指定試合の組ごとに、売上金額の50%に相当する額を、センターがあらかじめ定める率に応じて各等ごとに配分し、それらの金額にそれぞれ次条による加算金を加えた金額(以下「配分金額」といいます。)を、各等ごとに合致した投票口数であん分した金額となります。
2 「toto」の1口当たりの払戻金の最高限度額は、第5条第1項による指定試合の数が14の場合は、一等は3億円(一等に加算金がある場合は6億円)
(以下略)

(toto約款より引用)

toto BIG の本来の還元率は50%、つまり、毎回の売り上げの50%が当せん金に配分される。そのうち40%が1等、10%が2~4等に配分される。また、toto BIG において、各試合の勝ち、負け、引き分けのいずれかの指定は、くじ販売時にランダムに指定されるため、人的な予想を行う従来の toto と違い、1試合あたりの当たる確率は常に3分の1となる。指定試合が14試合なら、1等 (指定試合の勝ち、負け、引き分けがすべて的中) が当たる確率は、3の14乗 (478万2969) 分の1となる。toto BIG は1口300円であるから、1等の当せん金の期待値は本来、300×4782969×40% = 5億7395万6280円 となるべきである。

しかし、キャリーオーバーが0であれば、前述のように、その回の売り上げがいくら大きくても3億円が最高限度額となり、差額は次回へのキャリーオーバーとなる。実質的な還元率は約31%まで落ち込んでしまう (売り上げが少なければ3億円すら配分できないためさらに低下する)。「キャリーオーバーがたくさんある今こそチャンス!」というようなあちこちの煽りとは裏腹に、そもそも、キャリーオーバーが0では分が悪すぎる公営ギャンブルなのである。

なお、toto約款を素直に解釈すると、キャリーオーバーが1円でもあれば、売り上げと当せん口数次第では1等6億円が生じる可能性はある。

ただし、今回ほどには人気が沸騰していなかった回の売り上げは、たとえば今シーズン最初の第261回 (3月3~4日) は1億2618万3900円 (42万0613口) にとどまっている。とりあえず1等が1口だけ出た (自分だけ当たった) 場合に備え、最低でもキャリーオーバーが6億近くないと、「買えない」くじだということになる。

逆に、今回 (第278回) のように61億2033万1500円 (2040万1105口) の売り上げがあれば、そのうちの40% (24億円強) が1等に配分されるから、1等の当せん口数が4口までなら、キャリーオーバーを取り崩さなくても6億円を各口に配分できる。そして、1等の当たる確率は約480万分の1だから、1等の当せん口数の期待値は4口強といったところである。試しにプログラムを作成して確率計算してみたところ、今回の1等の当せん口数が4口以内に収まる確率は57.4%ある。

つまり、売り上げが十分大きければ、キャリーオーバーなど、あまり意味がないのである。こうした制度は、toto BIG の売り上げが低迷していることを前提として、6億円という最高限度額と組み合わせ、本来の1等当せん金の期待値である5億7395万6280円に近い値へ平準化させるための方策だったわけである。

しかし、キャリーオーバーが底をついて0円となった途端、平準化どころか、極端に分の悪いくじへと toto BIG は化けてしまう。ちなみに、今回のキャリーオーバーは15億円弱で、合計約39億円が配分可能だから、当せん口数が7口以上ならば、次回へのキャリーオーバーは0となり、次回の1等当せん金の最高限度額は3億円となってしまう。先のプログラムの計算では、今回の当せん口数が7口以上となる確率は14.2%ある。

ここで、

キャリーオーバー発生時の最高限度額 (6億円) > 本来の1等当せん金の期待値 (5億7395万6280円)

という不等式が僅差ながら成り立つことに注意してほしい。キャリーオーバーがずっと残っているということがないように制度設計されている。それはよい。

しかし、キャリーオーバーが0の回は、次回以降への寄付みたいなくじとなってしまう (笑)。次回にせよ、次々回以降にせよ、計算上、そのうち一旦はキャリーオーバーが0となる時が来る。その時にどのような反応が起こるか、少々興味深いところではある。

・・・と書いているうちに、今回の結果が発表された。1等は7口、つまり、次回へのキャリーオーバーは0である・・・

追記

1等当せん金の期待値早見表を別記事に掲載した (6月23日)。

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